日本財団 図書館


 

ぎっくり腰に気をつけよう

平成七年六月十五日放送
東京船員保険病院副院長
大谷麗二
人は進化の末、二本の足で起立し歩行する生活をするようになった結果、腰に上半身を支えるという役割と、上半身の自由な活動を助けて動くという、要の役割を科すことになりました。
その結果、いささか大げさな言い方をすれば、人間が二本足で起立し、歩行するようになった時から腰痛は宿命的なものになったわけです。
また、腰痛は現代病の一つであり、年々腰痛に悩む人が多くなっていると言われています。
ところで、皆さんの中には、腰をひねったり、重いものを持ち上げたときに、急に激しい痛みに裏われ、腰を伸ばすことができなくなった経験がある方がいらっしゃると思いますが、この急激におこる腰の痛みを「ぎっくり腰」と呼んでいます。
地方によっては、「ぎっくらせんき」とか「びっくら度」「びっくり腰」などと呼ぶ所もあります。
この「ぎっくり腰」は普通重いものを持ち上げたり、ゴルフや野球でスイングをした時など、度の筋肉を急に激しく使ったときにおこりやすく、瞬間的に、突然激しい痛みに裏われ、腰が曲がったままで、身動きができなくなります。
その他に、トイレから立ち上がった途端におこったり、洗面所でうつむいて洗っていた顔を上げたときなど、ちょっとしたはずみでおこることもあります。
それではぎっくり展は何故おこるのでしょうか。
その原因として、次のようなことが考えられています。
まず、第一に考えられるのは、重いものを持ち上げたり、腰をひねったときに、椎骨と椎骨の間にあってクッションのような働きをしている椎間板が損傷をうけるためです。
第二に脊椎の後ろにある椎体と椎体を結ぶ椎間関節という小さい関節が、急に無理に動かされ、関節を包んでいる袋や靭帯が捻挫をおこしてしまうためです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION