
皮膚病
平成六年十一月三日放送
東京船員保険病院副院長
大谷麗二
皮膚というのは、人間の体を覆っている薄い膜のようなもので、外からのいろいろな刺激に対して体を保護する重量な働きを持っていますが、この外からの刺激に対する保護作用のバランスが崩れると、皮膚が病気になるわけです。
今回は皮膚病のうち、皆さんが日常経験することの多い皮膚病について、お話しをしますが、その前に皮膚の仕組みについて簡単に説明しましょう。
皮膚は、表皮と真皮によって構成されています。
表皮は四つの細胞の層で構成されていますが、外界と接している表皮は角層といい、体の表面を覆って体を保護しています。
この角層は、たえず新しい細胞に入れ替わり、古い細胞は垢として剥がれ落ちていきます。
また、かたい毛髪や爪は角層が変化して作られたものです。
一方、表皮の下にある真皮には血管が網の目のように張り巡らされていて、皮膚に酸素と栄養を供給しています。
また、真皮の中には神経も張り巡らされていて、「痛い」「熱い」「かゆい」などの感覚を司っています。
さらに皮膚には毛の生えて来る毛孔や汗の出る汗孔が無数あいています。
それでは皮膚病の中からいくつかのものをお話ししましょう。
まず、皮膚病の中でも最もポピュラーな病気の一つである水虫について説明します。
足にできる白を俗に水虫といいます。
白癬はかびの一種である白書画が皮層の表面にある角層につき、そこで増殖し感染を起こす病気です。
水虫は、足の裏や足の指の間がかゆくなり、足の裏に小さい水泡や落屑といって、表皮の角膜層が大小の角質片となってはげ落ちる現象ですが、これらを作り、また、足の指の間がジクジグし、白くふやけ、赤い皮むけ
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