
出血とその手当
平成六年十月二十日放送
横浜掖済会病院整形外科部長
酒井義夫
出血とは、血管が傷ついて血液が血管の外に出ることをいいます。
人の血液は体重の一三分の一で、成人では約四〜五リットルとなります。
このうちの三分の一が失われれば危険であり、二分の一が失われれば死亡するとされています。
出血には身体の外に血液が出る外出血と、血液が体の中にたまる内出血があります。
ここでは主に外出血に対する止血法とその他の処置について説明しましょう。
外出血の種類としては動脈からの出血、静脈からの出血、毛細血管からの出血があり、それぞれに特徴があります。
動脈からの出血は鮮やかな紅色でほとばしるように流出したり、噴水のように吹き出します。
静脈からの出血は暗い赤色でゆっくりしたスピードで流れ出ます。
毛細血管からの出血は血液がじわっとにじみ出てきます。
このように出血を伴ったけがに対し、どのような処置をしたらよいのでしょうか。
出血の最も効果的な応急処置は圧迫止血といわれるもので、傷口に折りたたんだ清潔な布をあて、その上から指か手のひらで傷口を強く圧迫することです。
清潔な布がなければハンカチや手拭でもよいし、なにもなければ指か手のひらで傷口を直接圧迫します。
出血が止まったら、圧迫に用いた布の上から緩まないように包帯でしっかりとしばります。
包帯の用意がないときはネクタイや手拭で代用してください。
それからなるべく早く医師の手当を受けることです。
この傷口を直接圧迫して止血する方法は、だれにでも簡単にできる最も基本的なもので、どの血管からの出血でもたいていは止血できますので、まず第一に試みるべ
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