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呼吸器系疾患

平成六年八月四日放送
東京船員保険病院副院長
大谷麗二
私たちの体は、摂取した栄養物質を体内で燃焼させ、その時に発生する熱をエネルギー源として生命が維持されています。
この燃焼過程では、必要とする酸素を空気を吸い込むことによって取り入れて消費し、吐き出すことで体内に生じた炭酸ガスを体外に放出します。
この酸素を外気中から取り入れ、炭酸ガスを放出する仕組みを呼吸といいます。
そして、呼吸のための臓器を呼吸器といい、鼻、喉の上気道、気管、気管支の不気道、そして肺胞によって構成され、これを胸郭が取り囲んでいます。
肺胞は毛細血管に包まれて終末細気管支にブドウのようについていて、ここで、吸い込んだ空気は初めて血液と出会い、酸素を渡し、炭酸ガスを取り込むというガス交換をしています。
このように気道は常に外気とつながっている蔵器ですから、いろいろな病気が起こりやすくなります。
それでは、日常よく遭遇する呼吸器の病気について、まず最も身近な病気であり、日常生活においてだれもがよくかかる「かぜ」についてお話しします。
かぜはいろいろな原因で起こる呼吸器の炎症系の病気を総称したものであり、正確には「かぜ症候群」とか「かぜ疾患群」といいます。
かぜ症候群の原因はいろいろですが、八割から九割はウイルスの感染によって起こります。
そのほかに、マイコプラズマ、クラミジアといったウイルスよりやや大きい微生物や細菌でも起こります。
それ以外の寒さやアレルギーによるものは、ごく一部しかありません。
かぜの症状は、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、喉の痛み、咳、漢といった呼吸器の症状に、全身症状として発熱、身体のだるさ、食欲不振、頭痛、筋肉痛、関節痛などが加わります。
ときには、腹痛、下痢などの消化器系への症状がみら

 

 

 

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