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安全に関する事項

平成七年九月七日放送
出光タンカー?二等航海士
樋口聡
私の乗船勤務も三カ年目を迎え、その間にいろいろな甲板作業に従事する機会を得ることができました。
経験の浅い、いわば甲板作業の初心者として作業に参加し、時には指揮してきましたが、いつも念頭においてきたものは「あわてる事態にならないように作業を進める」と言うことでした。
あわてないためには、作業指揮者には適切な作業指揮を行うことや、自らの指揮力の限界を察知する能力が要求され、その他作業員には、指揮者の指示に直ちに反応できるような体制を整えておくことが要求されます。
そこで今回は、安全というものをあわてないということらとと捉え、そのための基本要素として、「適切な作業指揮」、「個人の能力限界」、「健康管理」、「整理整頓」、の四項目を挙げ、以下それぞれについて述べたいと思います。
まず、「適切な作業指揮」についてですが、共同作業を想定した場合、各作業者は自分一人の安全を確保するのが精一杯であることから、全体の安全は作業指揮者が見る必要があります。
各作業員は自分の頭上、足下の確認など目の届く範囲で自分の身を守るように努め、作業指揮者がみんなの動きを見て全体の安全を確保しつつ指示を出す、というのが理想の姿であると思います。
よって作業指揮者は自らが作業に没頭することの無いように注意し、また、そういうことが必要とならないように作業の難易度に応じて適正な人数、人員の配置というものをあらかじめ考えておかなければなりません。
ここぞというとき以外は手を出さないつもりで、いつも心に余裕を持っていることが大切です。
また、希なことですが特段に指揮者というものが定まっていない場合、すなわち偶然居合わせた人だけで軽い作業をする場合、あれこれと相談しながら、あるいは各人からばらばらの指示が飛びはじめるという状態になることがあります。

 

 

 

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