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わが社の荒天時の漁撈作業安全管理について

 

平成七年四月二十七日放送
マルハ?漁撈事業部船員課長
川端勉

 

今日は荒天時における漁ろう作業時の安全について、陸で働く私の目から見たお話をします。
荒天時における安全対策については、何と言っても直接現場で働くプロとしての皆さんの方が、あらゆる点で精通しておられますので、その点では釈迦に説法のきらいがあります。
平常時でさえ危険を伴う漁ろう作業に時化が加わった時、その危険度は想像を絶するものがあります。
そんな中でも、乗組員一人一人、だれが、どこで、どんなときに、何をなすべきか、積み重ねた経験や訓練を活かし、効果ある安全対策を確実に実施されていることをよくうかがっています。
このことでは陸で働く私の入り込む余地はありません。
ただ、日頃私が目をとおす資料の中では、船員災害発生率は陸上のそれと比べ相変わらず高い率を示していることが分かります。
さらに、その中でも特に漁船船員の発生率が依然として高いようです。
荒天時の安全対策について、その場の、具体的な、また技術的な問題提起はプロである現場の皆さんの見識にゆだねることにして、私は多少暴言になるかもしれませんが、荒天時に作業を中止する勇気について提言したいと思います。
昔から海の男のイメージとして、荒海に乗り出す勇猛果敢な姿が定着しています。
事実、勇産果敢でなければなかなか勤まらない戦場であることは確かです。
そのうえ事案主への貢献、乗組員と家族の生活という少々の時化の海にへこたれていられない事情があります。
しかし、ここで皆さんに考えていただきたいのです。
事業主も留守をあずかる家族の方々も笑顔で暮らせる条件は、まず皆さんや、船が無事であることに尽きると思います。
家族のだれ一人として皆さんの生命より収入を願う人

 

 

 

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