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船内通行時の安全

 

平成七年一月二十六日放送
共栄タンカー?海務部課長
刀根清

 

船員の災害・疾病は依然として著しく高率であると聞きます。
また、安全管理の重要性は常に認識されなければならないものであることは、いまさら言うまでもないことですが、実は、この認識させるということが安全担当者でなくとも頭の痛い問題となっています。
安全というテーマにあって、完全ゼロ災害への道は永遠の問題になると思われます。
さらにわれわれは、海上の特殊性を考慮に入れた対策を考えなければなりません。
船舶は限られた空間しかなく、その上、海上を移動するために外的影響を直接受ける特殊な環境に置かれるので、設備など、さまざまな方面に機能的な構造・配慮がなされている反面、陸上の安全に対する認識・対処と比較すれば、情報量・資料の分析の深さ、対応策を含む検討のしかたなど、かなり不足しているのではと考えさせられます。
私は、改めて船員法、船員労働安全衛生規則を読み返してみました。
それには安全の原理原則について適切に定められていることがうかがえますが、それではなぜ、それが活かされていないのでしょうか。
船員一人一人の安全意識の低さに起因するのではないでしようか。
これからお話しする「船内通行時の安全」はまさに船内の安全の基本となるものです。
まず、通路は、通常の船内生活の手段として、作業時の通路として、非常時の通路としてなど、種々に設けられ利用されていますが、ここで考えられる危険は転倒、転落、激突などがあります。
これらを発生させる要因として、まず、現状要素をみると、代表的なものとして、
通路としてのスペース、構造条件、路面状態、保証対策の有無、が挙げられますが、やはり個人の安全に対す

 

 

 

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