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まぐろ漁船の災害について

 

平成六年十月十三日放送
日本鰹鮪漁業協同組合連合会
指導部労政課長
久保隆司

 

わが国の遠洋まぐろ延縄漁船は、宮城県、静岡県、高知県、鹿児島県など太平洋側の県を中心に約七〇〇隻あり、太平洋、インド洋、大西洋と全世界の海を漁場としてミナミマグロ、クロマグロ、メバチ、キハダマグロを漁獲対象として授業しています。
総漁獲量は、年間約一八万トン、一隻平均では二六〇トンになり、そのほとんどが刺身用として消費されています。
操業方法は、一五〇キロメートルに及ぶ延縄を夜明け前から四時間ほどかけて投縄し、数時間の縄待ちの後、揚縄を行い、操業終了まで十数時間を要します。
捕れたまぐろはマイナス六〇度の凍結室で急速冷凍されます。
一航海の日数は、東部太平洋で操業する漁船で約一年、インド洋や大西洋に出漁する船では二年近くになり、三〜四カ月ごとに燃料と生鮮食料品の補給、そして乗組員の休養のために外地に寄港しています。
一隻当たりの乗組員数は、二十人前後ですので、全体では一万四千人が従事している計算です。
漁業全体が抱える問題の一つに乗組員不足がありますが、遠洋まぐろ延縄漁業では特に深刻になっています。
若い乗組員の新規参入がないために、年々高齢化が進んでいます。
また、日本人乗組員の確保が困難なことから、平成二年四月より一定の条件のもとで外国人の乗組員の雇用が認められ、現在ではインドネシア人を中心に約三千人が乗船し、今後も増加することが予想されています。
乗組員確保問題のほかにも、輸入まぐろの増加と魚価問題、資源管理と環境問題などがありますが、わが国のまぐろ延縄漁業を恒久的に維持存続させるには、国際的な資源管理体制の確立、国際競争力の強化、労働環境改善による乗組員の確保、世界で唯一であるわが国の刺身まぐろ市場の安定が急務となっており、業界あげて実現に向けて取り組んでいるところです。

 

 

 

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