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平成六年五月十二日放送
船員災害防止協会調査役
清水裕一

 

「災害」といわれても、大部分の方は、自分は起こさないし関係のないことと思っているのではないでしょうか。
事実、何もなければ災害は発生しません。
しかし、災害は一度発生条件がそろってしまえば、いつでもどこでも、誰にでも手加減することなく養ってきます。
ですから、自分にも容赦なく買ってくることを強く自覚して、原因の排除に努めなければなりません。
災害の発生する形態は、一番目に、ある環境下にあって「人が物やエネルギーに」接触する場合、二番目に、「物やエネルギーが人に」接触する場合、三番目に、「両方がともに」接触する場合の三つに分けられます。
何事にも原因と結果があるように、労働災害にも原因があって、「災害」という結果がもたらされます。
従って、災害防止の対策は、この原因を究明して、それを取り除くことに尽きるのです。
ところが、「人」が普段行っている行為の中には意識、無意識を問わず、さまざまな危険な行動が含まれています。
その行動が災害の発生に結びつくような人の行動を、「不安全行動」といいます。
一方、「物」については、事故が起きてもおかしくない状態、または事故の要因を作り出すような状態があり、これを「不安全状態」といいます。
ですから、労働災害を防止するためには、この「不安全行動」を防ぐとともに、「不安全状態」を除去するための対策を考える必要があります。
それには「不安全行動」や「不安全状態」の背後に潜む本質的な問題を把握し、災害の状態を総合的に考慮して、安全の確保に努めなければなりません。
これを安全の管理といいます。
皆さんの会社でも、災害ゼロを日指して、安全講習会や危険予知訓練などを行っていると思います。

 

 

 

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