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が再びりードを奪う。さすがはベテラン・清水と思われたが、試合終了間際、間合いを詰めた椎名の中段突きが決まって2−2。終了ぎりぎりのところで勝負は延長戦にもつれ込んだ。
延長に入ってしばらくした頃、一瞬の隙をついて放った椎名の中段突きが決まって椎名に軍配が上がった。
昨年の大会では3回戦で国分利人(千葉)に1−1の延長戦から負けを喫していた清水だが、今大会もここで惜しくも姿を消すことになった。「清水先輩とやるのが今大会の大きな目標だった。(勝てたことは)自分にとって上出来」と語る椎名。清水は世界大会や今大会に向けて忙しい仕事との両立を図るため、夜遅くまで稽古に励んでおり、その姿を常に見ていた椎名は「仕事も空手も見習いたい」と言う。
大先輩・清水裕正を破って勢いに乗る椎名志津男。迎えた準決勝戦は一昨年優勝の国分利人(千葉)。椎名志津男とは同期であるが、高校時代に練習試合をした時には手も足も出なかったという国分。それ以来急成長を遂げ、25歳でナショナルチーム入りし、一昨年の全日本大会では、とうとう全日本制覇を果たした。
一方の椎名は昨年の優勝時と同様に所属している茨城県の取手市空手道連盟の応援が大挙して会場に駆けつけ「ガンバレ、ガンバレ、シーヅーオー」と大きな声援を背に受けてコートに立つ。
お互い逆構えに構え、相手の出方をうかがう。マッチョマンでも定評のある国分はどっしりと構え、小兵ながら素早いステップワークが信条の椎名は相手を崩そうと試みる。試合開始後1分半、椎名が中段突きにきたところを待ち構えていた国分が足払いで倒して上段突き!これが一本となって、国分2ポイントを先取。しかし椎名も素早く潜っての中段突きで1ポイントを返し、残り時間30秒のところで足払いからの中段突きを極めて2−2の同点。そのまま時間終了となり、試合は再び延長戦にもつれ込んだ。
強烈な足払いを多用する国分は、延長後30秒だったころに一回、椎名を転ばして突きを極めるが、これはポイントにならず。しかし再び足払いからの上段突きを試みる国分、これが綺麗に決まって技有り!国分が前年優勝の椎名を破って決勝進出を決めた。
惜敗を喫した椎名は「間合いを切ろうとしてさがったのが悪かった。また一から出直し2年後の世界大会を目指す」と心を新たにする。

 

榎戸哲也、2年連続の決勝進出!国分と対決!!

 

一方、反対のブロックでは前年準優勝の榎戸哲也(栃木)が、苦戦を強いられながらも勝ち進む。初戦(2回戦)では藤平敏治(埼玉)相手に5−5の同点から延長戦で何とかこれを退け、続く3回戦では藤田清晴(大阪)に初っぱな一本技を取られて1−3とリードされるも、最後はこちらも一本技で取り返して6−3と逆転勝ち。4回戦の宮内敏(愛媛)には6−0と圧勝するも、迎えた準決勝、対樋口大樹(長野)戦でも突き技で2ポイントを先行される。しかし足技マジシャンの異名を取る榎戸は前蹴りなどで4−2と逆転。最後も一本抜狙いの裏廻し蹴りを連発するが、これは極まらず。しかし、榎戸はこれで2年連続の決勝進出を果たし、国分利人との対戦となった。
雌雄を決する決勝戦。国分利人VS榎戸哲也は昨年の準決勝でも顔を合わせており、そこでは激しいぶつかり合いから6−2で榎戸が勝利をおさめている。
どっしり構える国分に対しリズムカルに動く榎戸。

 

 

 

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