[24]暑熱環境下の海洋作業における熱的限界と温熱対策に関する研究−(その1)
熱収支モデルと温熱指標−
村山雅己(艤装研)、福地信義(九大)、中橋美智子(東京学芸大)
暑熱環境下の海洋作業において、代謝量、温湿度、衣服熱抵抗などの熱的要因による影響を把握するため恒温室と日射環境下において運動をさせながら人体の皮膚温、直腸温等を計測した。その実験結果を用いて人体を外殻層と中核部に分けた熱収支モデルを作成し皮層温を求める式を導いた。これにより人体の蓄熱量の計算式を定めて温熱指数とし、さらに熱的要因との関係から熱的作業限界について考察した。

[25]船舶の振動レベル推定に関する基礎的研究(流体の粘性による散逸エネルギーに基づく減衰マトリクスの定式化)
船木俊彦、林茂弘(阪大)
船体表面及び水底に境界層を考えることによって、流体の粘性による散逸エネルギーをマトリクス表示し、等価線形減衰マトリクス[Cw]を導いた。これを用いて深水域と浅水域のエネルギー計算を行い水底が与える影響について述べた。また、モーダル構造変更解析と境界要素法とを組み合わせた振動レベル推定法に[Cw]を組み込んだ周波数応答計算を行い、その傾向について実験と比較した。
[26]縮小付加質量マトリクスにおける観測点の影響に関する研究
船木俊彦、林茂弘(阪大)
回転楕円体の上下方向節振動に関してパラメータ計算を行い、観測点の配置方法が解析結果に与える影響について調べた。その結果、4節振動以下の低次側モードでは21観測点の等間隔配置で充分と考えられることがわかった。
また、実験計測点に観測点を配置して計算を行った結果を分析すると、回転ベクトルを考慮せずに観測点数を増やしても解析精度は向上しないことがわかった。その確認のために観測点数を増やした実験を行い、この分析が正しいことを確認した。

[27]平板近似による3次元水面衝撃計算法について
遠山泰美(三井造船)
実際の水面衝撃現象の多くは3次元的であるが、これまでに3次元の衝撃を理論的に扱った研究は非常に少ない。著者は2次元のWagnerの理論を3次元に拡張し、任意の軸対称物体の水面衝撃の算定法を示すとともに、接水面の形状が楕円形(長径と短径の比が時間とともに変化しながら拡大する楕円形平板)で近似できる場合の衝撃圧力分布および衝撃力の計算法を提案した。

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