
の3つのコースに分れるが、政策管理は政治学・行政学・経済学、社会経営コースは経営学・組織論、国際関係コースはその名の通り国際関係論であり、問題別の区分というよりも「政策管理コース」を除げば、既存の縦割り型の学部編成が持ち込まれたとの印象も受けるのである。
最後に、コアとなる政策科学系の科目についていえば、総合政策学や政策分析論、政策立案論、比較政策論、政策評価論など多くが経済学者によって担当されていることが注目される。政治学・行政学プロパーの教員の少なさ(専任教員4名)ともあいまって、学部全体が「経済学主導型」の色彩が強い。これは、後述する立命館大学政策科学部とは正反対である。2つの大学が同名の科目を設けている場合でも、慶應では経済学者が、立命館では政治学者が担当しているケースが多い。一口に政策学・政策科学といっても、これまでの系譜から経済学サイドと政治学のサイドからの2つのアプローチが有力だが、SFCの場合、初代学部長であり、SFC設置の原動力であったのが経済学者の加藤寛氏であったことからも分かるように、経済学主導型の総合政策学部となったのは、ある意味で必然的であったといえる(もっとも、こうしたこだわり自体が「総合政策学部」の趣旨に反するといわれそうだが)。
(2)中央大学総合政策学部
SFCに遅れること4年を経て、1994年に、中央大学・立命館大学・熊本県立大学に同時に政策系の新学部が設置された。これらは、いずれもSFCフォロワーとのイメージを与えがちだが、設立理念やカリキュラムを検討すれば、各大学ごとにSFCとは違った個性を出そうとする懸命の努力を見てとることができる。そうした努力がどこまで成功しているか、またその結果学都内容が「政策」の名を冠するにふさわしいかは、まだ結論を出すのはいささか時期尚早であるように思われる。
中央大学総合政策学部の最大の特色は、政策科学科と国際政策文化学科の2学科構成だということである。これだけでは、他の政策系学部とどこが違うのか良く分からないだろうが、後者の国際政策文化学科は、要するに地域研究と文化人類学、比較文化論、宗教論、コミュニケーション論などを核としている。SFCが総合政策学部と切り離した環境情報学部よりもはるかに人文科学的な色彩の強い学科を、中央では総合政策学部の中に抱え込んでいるのである。学部の基本理念は、政策科学の普遍性志向と文化科学の特殊性志向との連携を図るとしている。つまり、政策科学を学びながら文化への関心を培い、文化科学
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