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第3章わが国における政策系学部の概要

1.はじめに

本章では、わが国の大学における政策科学教育カリキュラムを置く大学のうち、新学部を増設あるいは新設したものから主要なものを選択し概観しようとするものである。1990年に慶應義塾大学が総合政策学部を創設して以来、政策科学系学部の新設、増設が顕著になった。以下において各大学の理念、カリキュラムの特色など概観する。

2.新学部における政策科学教育の概要

(1)慶應義塾大学
慶応義塾大学は、「今日のように激しく変化する社会では、適切な政策が、絶えず、しかも迅速に行われる必要」を強く認識し、総合政策学部総合政策学科の新設にふみ切り、1989年12月、その設置が認められ、翌年4月からスタートした。同学部は、「これまでの学問の枠をこえた横断的な知識の再編成を行い、問題解決型の新しい教育を導入し、現実の世界を正しく認識し、それに対して総合的に政策を立案、実行できる能力を養成」することを目的とし、その対象とする政策をいわゆる公共政策にのみに限定するのではなく、「私企業や種々の組織体で行なわれる方針の立案、意志決定をも含む」とし、「政策」の意味合いをかなり広義に捉えている。同学部のカリキュラムをみると、1・2年次においては、一般教育科目の他に、同時に設置された環境情報学部との間に共通専門教育科目を設け履修させようとしている。3・4年次の専門課程は、政策管理、社会経営、国際政策の3コースに分かれ、3コース共通の基礎科目を履修し、さらにコース別の専門科目を履修する。この慶応義塾大学総合政策学部での試みは、わが国初の独立学部での政策科学へのアプローチであり、わが国の政策科学教育の高揚のなかで、注目すべき事例である。なお、1994年には大学院の設置されており、学部、大学院を通じた、より専門的な政策科学教育が期待される。
また、慶應義塾大学では、1990年4月に新学部の開設とともに、湘南藤沢キャンパス(SFC)に開設された総合政策学部ならびに環境情報学部には3つの直属研究所があっ

 

 

 

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