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審査所感

書道芸術院漢字部審査員
全日本学校書道連盟審査員
伊勢神宮奉納書道展審査員
聖田書道教育振興会会長
手代木真風

 

手のひらサイズの「子」からバトンタッチした今年の主役は一転し大きな体の牛、サイズに似合ずおとなしい性格の彼らはどんな時にも慌てず、騒がず、ノシノシとマイペースで生きているように見える。エサである草を何度も反鋸(はんすう)して消化する彼らにあやかり、粘り強く一年を乗り切っていきたいもの。
さて、日本剣道少年団研修会書道展も今年で第十九回を数え、人間であれば来年は成人式となる。
剣道は日本古来の尚武の精神を基盤にして人間陶治を目指し、長い歴史を経て「術」から「道」に発展した伝統文化であります。又書写、書道も一管の筆に全精神をこめて人間形成を目指すものであり、共に「道」を追求する我が国の民族文化として継承し発展してきました。
近年になり武道も書写、書道も学校教育現場において漸次改革の方向にあり、更に幼児から一般社会人までに広く生涯教育として愛好され、国内はもとより国際的にも普及し、高い評価を得て居ります。このことはとりもなおさず日本の「武」「文」とが「文武不岐」として、人間の成長過程の上広くかつ強く作用するという価値観が定着した結果であろうと確信いたします。
(財)全日本剣道道場連盟は第一回より、武道の使命感に徹し今日に至って居ります。武道書写、書道を「文武両道」「文武済美」の心を重視し、毎年、年頭行事として、研修会、書道展を催し、参加者も、北海道から沖縄まで回を重ねるごとに増加の一途をたどり、更に作品も質的向上も著しく誠に喜ばしい限りであります。本年度応募作品は三千三百余点の多きにのぼり、これら精選された作品の内より本日栄えある入賞に輝いた皆さんに心からお祝いの言葉を贈ります。
剣道・書道を愛好する皆さんの今後の一層の精進、努力することを期待すると共に、(財)全日本剣道道場連盟の創意工夫をこらし、本大会の益々の発展と充実した展覧会にするため努める所存であります。
本年も御支援頂きました数々の団体、運営に当られた関係各位、又ボランティアの皆さんに感謝し挨拶と致します。

 

 

 

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