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2・5 運輸

 

2・5・1 鉄道
タイの鉄道は王立鉄道として1890年にラマ5世により設立され、1951年タイ国有鉄道公社法により現在の公共企業体の形態となった。1896年バンコク〜アユタヤ間が最初に開通して以来、来年でちょうど100周年を迎える。
今回の調査対象となっている北線のバンコク〜チェンマイ間は、これより30年後の1926年に開通している。当初は標準軌で建設されたが、近隣諸国との連絡を考慮し、後にメーターゲージヘ転換された。
タイにおける鉄道はすべてタイ国鉄(SRT:State Railway of Thailand)に属し、民営によるものはない。路線はバンコクから放射状となっており、チェンマイまでの北線、ノンカイ、及びウホンラチャタニまでの北東線群、アランヤプラナートまでの東線、マレーシア国境に至る南線が基幹路線である(図2・5−1参照)。これに若干の支線を加えて、営業キロは3,870kmであるが、その大部分は単線で複線区間はバンコクから北に向かう約90km(2.3%)にすぎない。
路線はマレーシア、カンボジアなどの近接諸国と同じ1mである。電化は全く行われておらず、全列車が欧米製または日本製のディーゼル機関車及びディーゼルカーにより運行されている。
1994年の旅客輸送量は87,336千人、14,496(百万人−キロ)で、ここ数年ほぼ横ばいである。同年の貨物輸送量は7,580千トン、3,072(百万トン−キロ)でこちらもほぼ横ばい傾向が続いている(表3・1−3、5参照)。
各地域間の輸送状況を鉄道、自動車、航空機のシェア別でみると、バンコク〜チェンマイ間では鉄道の13%に対し、自動車56%、航空機31%、バンコク〜ピサヌローク間では鉄道7%に対し、自動車92%、航空機1%で、全体の輸送量が増加している中で、鉄道のシェアが低下している。(表5・5−1、2参照)

 

 

 

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