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(4)造船事情
 
英国造船業は、1955年まで世界第1位の建造国として、その地位を保っていたが、1956年に日本に第1位の地位を譲って以来、長期に亘って低迷を続け、特に1973年のオイルショック以降の衰退は著しく、1987年の商船建造量(竣工べース)は31隻、1914万G/T(世界全体の建造量の1.6%)にまで落ち込み、更に1990年には29隻、13.1万G/Tと、世界建造量全体の僅か1.2%を占める程度にまで低下している。
オイルショック直後の1977年に、英国政府は造船業の再建を図るため、造船業の国有化政策を打ち出し、英国造船公社(British Shipbuilders Corp.,以下BSと略す)を設立し、全ての主要造船会社はこのBSに所属することとなった。
この国有化政策と並行して、政府は新規受注の獲得を図るため、造船所に船価差補助金(Intervention Fund)を供与するという直接助成措置を導入し、手厚い国家助成による造船業の再建を図った。
しかし、世界的な船舶建造需要が沈滞する中にあっては、巨額の国家助成にもかかわらず、造船業の再建の実効は上がらず、衰退の一途を辿ることとなり、国家助成政策は結果的には完全に失敗に終わることとなった。
この結果、政府は国有企業の民営化と斜陽産業への助成打切りという基本方針を打ち出し、これに基づき83年にBSの民営化計画が正式に発表された。政府は先ず経営状況の比較的に良い艦艇建造部門の民営化に着手し、85年度末までにBS傘下の全ての艦艇建造造船所が民間に売却され、もしくは閉鎖された。
BS傘下の艦艇造船所は全て民営化されたが、このうち現在大規模な艦艇建造を行う造船所は、Swan Hunter Shipbunding、Vickers Shipbuilding、Vosper Thonycroft,Yarrow Shipbuildersの4社のみである。
これら艦艇建造造船所は、商船建造造船所に比べ発注先の国防省から比較的安定した注文を受けることができるが、国防省としては市場競争により艦艇発注価格を削減し、合理化を図るとしており、これら造船所間の今後一層の競争激化が予想される。
英国における3大商船建造所の1っであるGovan Shipbuilders Ltd.は、88年にノ
 
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