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英国の経常収支は、伝統的に貿易収支の赤字を貿易外収支の黒字でカバーするパターンであるが、経常収支、貿易収支は86年に赤字に転じて以来、年々悪化を続けていた。しかし、90年には輸出が前年比2ケタの伸びとなった一方、内需の不振により輸入の伸びが鈍化したため、貿易収支が改善し、経常収支の赤字幅も89年の199億ポンドから90年には128億ポンド(前年比35.7%減)に縮小した。
英国は伝統的に重要な資本輸出国であるが、北海石油の登場と為替管理の撤廃を契機として投資の重要性が増大し、80年から90年の問に対外投資は2,502億ポンドに達し、同期間における海外からの対英投資1,475億ポンドを70%も上回っている。
89年末現在の純資産総額は1,125億ポンドであり、日本、旧西独に次ぐ世界第3位の純資産国となっている。
英国におけるインフレ率は、80〜89年の年平均6.1%から、90年末には9.3%に上昇したが、91年6月には5.8%に低下し、引き続き沈静化傾向にある。
雇用状況については、景気後退の影響もあって、90年末の失業率6.5%(失業者数184万人)から91年央には8.1%(同230万人)の水準にまで増加し、92年に入っても悪化傾向は続き、3月には9.5%に達したものと推定されている。
現在、英国政府は深刻な不況下で、各種多様な戦略を展開しており、そのひとつとして対欧州戦略があり、EC市場統合、EEA(欧州経済領域)構想、更に東欧改革の進展に伴い拡大する市場で、商機を獲得するための積極的な動きを見せている。
 
(2)船舶事情
 
(A)保有状況
1991年12月末現在における英国の保有船腹量は、10OG/T以上の鋼造船が1,949隻、合計6,610,633G/T(8,299,700DWT)であり、これを船種別に大別すると次の通りである。
 
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