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既に述べた通り、両国間貿易には大幅な不均衡が存在する。最近、わが国はオーストリアの貿易においてシェアを高めてきている。特にオーストリア側の輸入面で、日本は88年以降、旧西独、イタリアに次いで第3位を占めている。

貿易不均衡の問題については、オーストリア側は、投資、技術交流、観光振興などにより総合的に解決すべきであるとの立場をとっている。

しかし、貿易不均衡が恒常的かつオーストリアにとり対日赤字額が巨額(オーストリアの貿易赤字総額の20%以上に相当する)に達してきたことに加え、日本の対オーストリア直接投資も小規模にとどまっていることなどから、日本の対オーストリア輸出(自動車、VTRなど)の自粛を要請しており、また対日VTR輸入は増加傾向が続いたため、関税の引き上げを実施した。

産業協力については、オーストリアは特に先端技術の分野で雇用の確保および先端技術導入の観点から非常に重視している。

産業協力に関連しオーストリア政府は、産業協力開発部(ICD)を在日オーストリア通商代表部に設置し日本企業の誘致に努力している。

特に、エレクトロニクス、機械、通信、事務用機器など高度技術分野への日本企業の進出を期待している。 産業協力推進のため、日本あるいはオーストリアで度々ゼミナール、シンポジウム、両国間定期会合などが開催されている。

オーストリアに進出している日本企業は、89年末現在で50社を超えている。その大部分がメーカーの販売法人、貿易、金融、サービスなどの分野を中心とする非製造業部門である。在オーストリア日系製造企業は、10社以上となっている。

一方、オーストリアからの対日進出企業は、89年末現在で17社となっている。いずれもメーカーの販売会社や銀行の出先機関などである。

オーストリア在留日本人数は1,833名(92年10月現在)、在日オーストリア人数は約400名(同年8月現在)となっている。





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