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オーストリアは、鉱物資源に恵まれた地層が多く、鉱業は古くから発達し欧州に広く知られていた。

豊かな地下資源に加え、近年北アルプス山麓を東西に走る大規模な石油と天然ガス鉱脈が発見されている。

91年の原油生産量は128万トン、天然ガスは13億2,900万立方メートルである。

鉄鉱石は、アイゼンエルツの露天掘りが有名である。鉄鉱石の国内生産は、90年230万トン、91年212万トンであるが、鉄鋼業が盛んなため鉄鉱石をロシア、スウェーデン、カナダなど海外からも輸入している。

シュタイアマルク州のアイゼンエルツの露天掘り鉄鉱石鉱山の周辺の山あいに製鉄所や加工場があり、その中心地はドナビッツである。

また、オーバーエスタライヒ州の州都リンツ(人口20万人)は、ドナウ川の水運を利用して国内産鉱石や輸入鉱石を使用した製鉄所があり、更にその他の地域でも一貫製鉄設備のある工場で機械設備、高級鉄鋼製品などの生産が盛んである。

オーストリアの鉄鋼業の中心地リンツとドナビッツの頭文字をつけたLD製鋼法は、オーストリア鉄鋼業が成し遂げた先端的開発のうちで代表的なものである。全世界の約250の製鉄所がこの製法を使用して世界粗鋼の約52%が生産されている。

この製法は、生産性の高い、短時間に大量の鉄鋼生産を目指す鉄鋼生産国で広く使用されている。

オーストリアにおける鉄鋼以外の非鉄金属の生産は、粗アルミニウム、軟鉛、硬鉛、電解亜鉛、粉末マグネサイトなどが主なものである。

アルプス山麓北部は、全域が深層に至るまで豊富な石油と天然ガスの生産が期待されている地帯である。

製造業は、1991年に労働人口の26.8%(90年は26.9%)を雇用し、GDPへの寄与率は26.6%(90年は27.3%)であった。

製造業の重要な分野は、機械類(製造業生産総額に占める割合:19.5%)、金属および金属製品(同14.8%)、食品加工(同12.3%)、木材、木材製品および紙製品(同10.8%)、化学製品(同9.8%)などである。 1980〜90年の期間に製造業の生産高は平均年率2.97%の伸びを示した。オーストリアの電力供給源は、石油、天然ガス、石炭および水力発電に依存して





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