政府財政赤字は88年の9億8,400万TTドルから89年には7億960万TTドルに縮小した。財政赤字の補填は国内資金(うち、4億7,100万TTドルは国債発行)によって賄われた。
公的債務については、89年中に元金支払い期日到来分の総額2億3,300万米ドルの債務返済が繰り延べられた。繰り延べ債務の返済は、93年から開始されることになる。
89年の債務返済は、総額15億100万米ドル(うち、対外債務は9億2,600万米ドル)にしている。
88年における国際石油価格の暴落、油田爆発事故、油田労働者ストライキなどによる生産低下を来たした。石油精製部門においても低生産性は深刻な問題となってきた。
このため、政府は輸出志向製造業の拡大および観光事業の振興を促進することにより、経済の多様化を図った。更に、量府は国営企簑への助成金の節減、公共部門従業員の削減などの実施により、国家歳出の抑制を図っている。
90年4月、国連IMF(国際通貨基金)は、トリニダードトバゴ政府の経済社会政策をまとめた90年度開発計画に対する資金供与に合意した。本計画は、貿易の自由化、税制政草、公共企業の再編成を実施することにより、GDP実質1%成長の達成(89年は実質3.7%のマイナス成長)、インフレ高進の抑制(89年のインフレ率は7.8%)、外貨準備高の増加、政府の緊縮政策により深刻化した失業問題の緩和(89年失業率22.4%)などを図ることを主要目的として作成されている。