ベネズエラ
(1)一般事情
ベネズエラは、南米大陸の北岸に位置し、西はコロンビア、東はガイアナ、南はブラジルと、それぞれ国境を接している。
国土面積は912,050平方キロ(わが国の約2.5倍)、89年央の人口は約1,925万人、このうち首都カラカスが約340万人である。
ベネズエラは、ラテンアメリカでは最も都市化の進んだ国であり、人口の約86%が都市に集中している。
人種別では、混血69%、白人20%、黒人9%、アメリカン・インディアン2%から成り、国民の97.5%が公用語のスペイン語を日常使用している。
宗教は、全人口の殆とがローマカトリック教徒である。
労働人口の12.8%(89年)は農業部門(林・漁業を含む)に従事しており、この部門の生産はGDP(国内総生産)の6%を占めている。
ベネズエラの農業部門は、他の発展途上国と比べ、経済に占めている比重が低いのが特徴である。
国土の約20%が農耕地または牧草地として利用されている。米、とうもろこし、ソルガムなど主要国内向け作物は、順調な伸びを示しているが、砂糖きび、綿花などは減産となっており、輸出向けであるコーヒー、ココアも伸び悩んでいる。
主食となる農作物のうち、小麦の自給率は僅か2%に過ぎず、国内消費分の殆とを輸入で賄っている。
石油産業が発展するまでは、ベネズエラは単なる農業国で、コーヒー、ココア、食肉などが重要な外貨獲得源であった。工業化の促進と共に農業人口は減少し、農業の低迷を引き起こしているが、ベネズエラの場合農業人口を補い、かつ生産量を十分に増大させるための機械化や近代化の導入が遅れていることが問題となっている。
農業の停滞により、食糧生産は人口の増加に追いつかず、輸入に依存せざるを得