工業に関しては、政府は(1)既存企業の近代化、(2)新規プロジェクトの実施、(3)生産性向上、(4)地方分散化、(5)中小企業振興など、数多くの政策を実行し、他の部門に比べ高い成長を目指している。
工業部門の生産は、1980〜88年の期間に年平均5.1%の成長を遂げた。
コロンビア経済の将来の発展を担うのは、鉱業である。労働人口に占める鉱業の割合は僅か0.6%に過ぎないが、鉱業部門のGDPへの寄与率は、88年6.0%、89年には7.4%に達している。
既開発の主要鉱産物は、石油、天然ガス、石炭、ニッケル、エメラルド、金などである。銀、プラチナ、鉄、鉛、亜鉛、銅、水銀・石灰石・燐鉱石などの埋蔵もあり、開発が進められている。
コロンビアは、中南米では最大の石炭埋蔵量(89年推定181億トン)をもつといわれ、石炭生産は1985年以降、本格的な増産に向かい、これに伴い石炭輸出量も順調に拡大している。
炭田開発プロジェクトの実施により、石炭生産量は、85年の500万トン台から87年は1,460万トンと大幅に増大し、88年に1,960万トンに達したものと推定されている。
石炭輸出も81年の1億3,100万ドルから、87年3億3,240万ドル、88年4億340万ドル、89年には6億4,990万ドルと飛躍的な増加で推移している。
コロンビアの炭田は、露天掘りとしては世界最大規模の一つで、品質は米国のアパラチア炭田に次いで世界第2位の良質炭といわれている。
コロンビアのフェロニッケル生産は、79年に産業開発公社(Instituto de Fomento Industrial“IFI”)が米国企業と合弁でニッケル開発を行ない、82年から本格的操業を開始したのがその始まりである。
ニッケル埋蔵量は、平均2.7%のニッケル合有量をもつものが2,100万トン、平均1.5%のものが4,100万トンと発表されており、フェロニッケル生産の全量が輸出に向けられている。