(B)海運事情と保有船主の実態
メキシコは、東はメキシコ湾に臨み、西は太平洋に面し、延べ9,903キロに及ぶ長い海岸線に恵まれ、貿易量の半分以上を海上輸送に依存しているが、自国海運業による輸送比率は極めて低く、外航貨物については約4%、内航貨物でさえ6%程度を自国籍船で輸送しているに過ぎない。
また、メキシコの最大貿易相手国が隣国の米国で、両国間貿易貨物の80%以上が鉄道やトラックによる陸上輸送、もしくは航空輸送を利用していることも、自国海運企業の発展を妨げる要因となっている。
メキシコ政府は、81年に海運振興法を制定し、船員の養成、自国船のための貨物留保、商船隊の拡充などに努力しており、商船隊の拡充については、貿易貨物の自国船による積取比率の向上を目指して、過去数年問にわたって海運部門の整備に重点を置いて政策を推進してきた。
しかし、最近では建造資金や運航上の問題などから、外国籍であっても便宜置籍として、外国用船とする傾向が高まっており、政府としても必ずしも積極的な自国船腹増強払人政策がとられていないのが現状である。
現在、メキシコの最大海運会社は、国営のPEMEX社とTMM社であるが、TMM社は自社船17隻(約29万G/T)保有し、沿岸航路のほか、欧州、スカンジナビア、地中海、米国、中南米、カリブ海、日本その他の極東諸国などの定期航路に配船している。
メキシコの主な船主とその保有船舶は、次の通りである。