
なお、内航海運については、内陸輸送が既に普及していること、また国内貨物の流動が海運向きでないこともあって、殆ど発達しないまま現在に至っている。
スリランカの外航海運は、1971年に国営のセイロン海運公社(CSC)が設立されるまでは列強に支配されていたこともあって、地理的には東西交通の要衝という極めて有利な条件にあるにもかかわらず、殆ど見るべきものがなかった。 CSCは、スリランカ唯一の外航定期船公社であり、1990年末現在、職員数は1,836名(船員1,375名、地上職員461名)となっている。 1990年におけるCSCの保有船隊は、CSC保有のコンテナ船6隻(18,522純登録トン)、チャーター船15隻の合計21隻であった。 主要航路は、欧州航路と極東〜中東航路となっている。また、フィーダー航路としてシンガポール航路、南インド航路がある。 1990年にはコロンボ港から積荷68.7万トン、揚荷83.0万トンの輸送を行なっていた。 CSCは、設立当初から1981年までは黒字経営を続け、余剰金を国庫に納め、国家財政の改善に寄与していた。 しかし、1978年に基金借款などにより合計8隻の新造船を購入し、新造船の引き渡しが始まった1982年から赤字に転落し、その後、国庫からの補助金なしでは運営が不可能となった。
1988年から始まった国際通貨基金(IMF)と世銀(WB)との政策決定に基づき、1989年には極東航路と紅海やアラブ湾岸の中東航路が合併され、また保有コンテナ船のうち非効率な不経済船が処分され、組織改革も行われた。 一方、1990年から始まった海運自由化政策により、CSCへの輸出貨物の優先割当の廃止が実施され、CSCの競争力強化が求められることになり、今後も人員の削減、老朽船の代替増強などにより、引き続きCSCの構造調整を図ることが必要とされている。
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