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 1992年の輸出は、前年比20%増加して20億4,000万ドルとなり、一方、輸入は同9%増の37億3,200万ドルとなった。
 その結果、貿易収支は16億9,200万ドルの赤字となり、赤字幅は前年に比べ4,100万ドル縮小した。このため、経常収支は1億8,080万ドルの黒字を記録した。
 バングラデシュの国際収支構造は、貿易収支とサービス収支の恒常的な赤字を海外からの援助や借り入れ、出稼ぎ労働者からの国内送金などで埋め合わせるというパターンをとっている。
 国連IMF(国際通貨基金)統計によると、93年12月末におけるバングラデシュの外貨準備高は24億1,080万ドルで、前年同月に比べ35%の増加となった。

 バングラデシュの対外債務残高は、逐年増え続けており、世銀の調査統計によると、1992年12月末現在で131億8,900万ドル(前年同月末に比べ9億4,400万ドル増)に達している。
 このうち、122億2,600万ドルは長期公的債務である。
 1992年における債務返済額と利子支払額の合計は、商品およびサービスの輸出収入総額の17.1%(前年度は25.4%)に相当する大きな金額となっている。
 1985〜92年の期間における消費者物価上昇率は、年平均7.8%と高率であったが、93年は前年度に比べ低下し、約3.0%となった。
 バングラデシュの経済事情は、アラビア海沿岸地方における出稼ぎ労働者からの免換通貨の本国送金(同国にとって最も有力な外貨収入)の激減、石油輸入コストの昂騰、輸出不振などにより、90年後半に至って急速に悪化した。
 そのため、政府は歳出制限を含む各種の厳しい緊縮政策を導入し実施した。その結果、バングラデシュ経済は91年初期に至って、やや安定し、新たな成長の兆候が

 

 

 

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