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(B)海運事情と保有船主の実態

 パキスタン海運は、1947年にインドから分離し独立した当時には、僅か3隻(合計約2万DWT)の中古船を保有しているに過ぎなかった。
 その後、中古船を主体とした船隊の増強が推進されたが、輸入貨物の大半は外国船や外国からの用船で輸送される状態が続き、自国の国際収支の面で大きな負担となっていた。

 

 このため、政府は国営海運会社の設立、外国船によるパキスタン沿岸輸送の禁止などの政策により、自国海運の発展に努力したが、1971年の東パキスタン(現バングラデシュ)の独立の際に、西パキスタン(現パキスタン)は多数の船舶を喪失するなど、壊滅的な打撃を受けた。

 

 1974〜77年には、他の重要産業と同様に海運においても、民間の海運会社は全て政府に買収され国営化されたが、期待した 程 の結果は得られず、最終的には1979年に至って、従来2つに分かれていたNational Shipping CorporationとPakistan Shipping Corporationとを統合して、現在のPakistan National Shipping Corporation(PNSC)を設立し、パキスタン海運を本格的に強化した。

 

 現在のパキスタン海運は、このPNSC社を中核とし、このほかに民間会社で巡礼者輸送に従事している Pan 一Islamic Steamship C o,. Lt d .と、PNSC社とパキスタンの石油精製会社との合弁企業である原油輸送専門のNational Tanker Co,.(Private)Lt d .がある。

 

 

 

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