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過去何年にも亘 っ てこの型が定着している。
 貿易収支の赤字は恒常的に続き、貿易外収支は出稼ぎ労働者や海外移民からの 送金で黒字となっているが、それを除けば赤字が続いている。貿易、貿易外収支を含む経常収支は、慢性的な赤字(92年には19億2,900万ドル)となっており、これを海外からの援助、借款、投資などによってカバーするという形をとっている。

 

 パキスタン経済が発展していくためには、財政赤字の削減、インフレの抑制、民間投資の促進、輸出の振興、外資の導入、国営企業民営化の促進など、数多くの課題に挑戦しなければならない。
 特に外資を含め民間投資を活発化させ、インフラ部門の整備を推進するほか、生産設備の増強を急ぐ必要がある。
 また、カラチなど経済・産業の中心地における頻繁な暴動発生や治安状態の悪化は、経済成長にとって大きなマイナス要因となっており、政府の適切な対策を必要としている。
 政府の第7次開発5ヵ年計画(1988〜93年)は、投資総額6,160億ルピーを予定して実施された。
 第6次計画では、特に民間部門の開発に重点を置き、複雑な諸規則を緩和し、民間の開発投資を促進して、開発の利益が国民全体に行きわたるよう配慮されており、工業、農業、建設、教育、保健、雇用、サービス、貿易、エネルギー開発、その他すべての経済活動において、政府と民間の協力が強調されている。
 第7次計画でも同様の方針が踏襲され、生産の増強と共に生活水準の向上が目的とされている。そのため、農村地帯のインフラ整備、教育、保健などのサービス強化、雇用対策など貧困層への特別の配慮がなされている。

 

 

 

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