シンガポールは、民主社会主義の立場から、非同盟中立政策を掲げ、国連をはじめ各種の主要国際機関に加盟している。また、アジアの地域協力機構のなかでは、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピンと共に東南アジア諸国連合(ASEAN)を結成し、反共的立場を堅持しているが、66年にソ連との間に最初の貿易協定を結んだ。その後、ポーランド、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、北朝鮮など共産圏のほか、イスラエル、アラブ連合、カンボジアなどとも貿易協定を締結し、79年末には中国とも貿易協定を取り交わした。
シンガポールは、既に西側諸国とは相互に最恵国待遇を供与して、良好な貿易・経済関係を維持しており、特に米国および日本とは、貿易や投資など経済面において極めて密接な関係にある。
わが国は1960年5月、シンガポールと通商協定を締結し現在に至っているが、ここ数年、日本・シンガポール間には大きな懸案はなく、両国要人の往来も活発化しており、両国の関係は極めて良好な状態にある。近年、シンガポールでは、各種の分野において我が国の知識や経験に学ぼうとする姿勢が強まっている。
日本とシンガポールとの貿易は、恒常的に日本側の大幅出超となっている。
シンガポールが日本の輸出・輸入に占める比率は、それぞれ2.2%、1.2%程度と小さいが、シンガポールにとって日本との貿易は、輸出で米国、マレーシアに次ぎ第3位(9.4%)、輸入では毎年第1位(17.1%)を占め、重要なパートナーとなっている。