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9・10 レーダー反射器

 小さい面積でありながら、レーダー電波をよく反射する(レーダー断面積の大きな)ものをレーダー反射器といい、小型の木船やプラスチック船などのレーダーでの探知性能を向上させるために、それらの船に取り付けられることがあるほか、航路標識である浮標にもよく取り付けられている。

 このような反射器には三枚の金属板を直交させて作ったコーナ反射器や誘電体内で、電波が屈折するレンズ効果を利用したレンズリフレクターなどがある。

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図9・30のaはコーナー反射器の例で、広い範囲の入射角で入射した電波はいずれも3回の反射によって元の入射方向に戻る性質をもっている。このような三角形のコーナー反射器の最大のレ一ダー断面積は一辺の長さをaとすれば

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となり仮にa = 0.3m 、λ =0.03m としても37.7 m2となり、直径7m弱の球と同じσをもつことになる。普通はこの反射器を同図のbなどのように組み合わせた形で使用する。

 レンズリフレクターの代表的なものにルーネベルグレンズリフレクターがある。これは発泡ポリスチロールの発泡率を変化させて、その誘電率ξを、中心部がξ=2 、周囲部が空気と同じξ=1を持たせるようにした球体である。連続的に誘電率を変化させるのは製造上の困難があるので、実際は同心球的に何段階かに誘電率ξを変化させる。そうすると、入射した電波は図9・31の(a)に示すように入射と反対側の一点に集中する。そこでその点に図(b)に示すような反射板を置けば、電波は入射と同じ経路を逆に通って、元の方向へ平面波として反射され、大きなレーダー断面積を持つことができる。反射板に幅があるのは、垂直方向に角度φ(=30度)の指向性を持たせるためである。

 

 

 

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