Vm=Vcos(ωt+Ωd cos Ωt) (5・24)
となる。ただしΩd = γp・Vp である。位相変調波形は図5・26(e)のとおりである。
位相変調は信号波を積分した後で周波数変調を行えばよく、復調も周波数変調波の復調回路がそのまま用いられる。
位相変調で信号波が“1”あるいは“0”のディジタル量の場合は、PSK(Phase Shift Keying)が用いられる。PSKでは搬送波のみを使用し、“1”、“0”は搬送波の位相で表す。この方法は2相式DPSK(Differential PSK)と呼ばれており、海事衛星通信装置にもテレックス信号、リクエスト信号の変調方式に利用されている。PSKはこの他に高速通信用に数ビットのディジタル信号を一度に変調する多相位相変復調方式がある。
5・4 周波数変調回路
受信機において高周波の微弱電波を受信して増幅する場合、そのままの周波数で高い増幅率の増幅を行うと、発振を起こして動作が不安定になる。一定の周波数の増幅に対しては、中和コンデンサを用いるなどして動作の安定化ができるが、広い周波数範囲の受信電波を増幅しようとすると、また別の周波数で発振が生じ動作が不安定になってしまう。これを防ぐため、受信電波そのものの増幅では余り増幅率を上げず、局部発振器と呼ばれる発振回路で作った周波数と混合して周波数を変え、低い一定の周波数にした後に増幅率を上げて増幅する方法がある。これをヘテロダイン方式と呼び、受信電波の周波数をある一定の低い周波数に変える操作を周波数変換又は混合と呼んでいる。また、変換された一定周波数のことを中間周波数と呼んでいる。また、シンセサイザー方式の送信機や受信機において、周波数を合成する過程でも周波数変換は多く利用されている。