近年の電子工学の発達は目ざましく、例えばテレビやレーダーでも、数年前までは中に真空管等が一杯詰まっていたものが、最近は大幅にIC化され、中身はすっかり簡素化されてしまっている。そして、新しい機種が次から次へと開発されてその応接のいとまもなく、極端な言いかたをすれば、昨日の新製品も明日は旧型になるといった有様で、それを理解するのも容易ではない。
しかし、その根底にある電子理論に変わりがあろうはずもなく、各種の船舶用電子機器を取り扱う我々としては、これの理解は不可欠のものである。ただ、一口に電子理論といっても、その幅と奥行きは余りにも大きく、その全容を理解することは容易ではない。そこで本書では航海用レーダーに関係のある各論をとりあげ、その概要についてまとめてみた。本書が諸子の電子工学や機器保守整備編の勉学の一助になれば幸である。
なお、本書は日本財団の補助を得て作成したものである。