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電圧が発生し、これが転流コンデンサCに充電する。
次にサイリスタS2のゲートにトリガ信号が与えられ、S2をタ一ンオンすると、一次巻線を流れる電流の向きが前と逆になるので、ab間に誘起する電圧の極性も逆になり、S1の陽極電圧が瞬間的に一2Eまで低下するのでS1はタ一ンオフし、一方転流コンデンサCは前と逆の極性の2Eの電圧で充電される。このように交互にトリガ信号がサイリスタに与えられることによって、オン、オフ動作を繰り返し、交流電圧を発生する。この結線方式では電圧と位相を異にする誘導性の負荷電流が流れると、それに対応して変圧器一次巻線に遅れ位相の電流が流れ、これを転流コンデンサCが吸収しなければならぬことになるので、力率の低い誘導性負荷の場合は、このコンデンサの容量を増大しなければならず、また、これによって瞬間的に発生するピーク電圧の抑制処置も必要となる等不利な点が生じるので、リアクタンス負荷のように無効電流分を含む一般的な負荷に対しては次に示す改良形並列インバータ(改良マクマレーインバータとも呼ぶ。)が使用に適している。
改良並列インバータの回路は図7・27に示すように、並列インバータの無効負荷電流に対する動作機能を改良するためにフィードバックダイオードと称しているDl,D2のダイオードを挿入した点が特徴的である。誘導性負荷電流は電圧が零となっても流れ続けようとするので、例えばサイリスタS1がタ一ンオフしても負荷電流の遅れ無効電流分Ilに対応して一次巻線にiL2が流れようとする。この電流に対しダイオードD2が導通してこの無効電力を電源に送り返すように働く。

 

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図7・27改良形並列インバータの結線図

 

また、この回路では遅れ力率の負荷のみでなく、進み力率の負荷もフィードバックによって補償することができるので、転流コンデンサCの容量を小さくすることができ、また、無負荷から全負荷に至る。すべての負荷状態で方形波出力電圧を出すと共に、サイリスタに異常に高い電圧がかかることがないので、性能、安定性及び経済性の点で非常に優れた回路方式とみなされ、広範に使用されている。
2・7・4蓄電池充電用整流装置
船内の常用電源が交流である場合、蓄電池の充電は通常半導体整流器により行わ

 

 

 

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