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〔要約〕
昨年度の西欧諸国に引き続き、今年度はアメリカ、カナダ、パナマの船舶用機器の検査制度に関して調査した。米国の船舶検査制度については別途運輸省・海上技術安全局からも情報を得ていたので、書簡による質問への回答と訪問・面談の結果にその情報も加え、3カ国の検査制度を本書にまとめた。
米国には合衆国法典(US Code)と連邦規則(Code of Federal Regulations−CFR)があり、“46CFR”が船舶、“47CFR”が電波通信関係規則で、これらは東京アメリカン・センター資料室に行けば閲覧できる。
船舶検査の担当組織はもとより沿岸警備隊(USCG)であり、検査官はOCMI(Officer in Charge、Marinelnspection)と称し、米国内42カ所のほか、海外の支局にも駐在員としている。この検査官は船舶検査のみを任務とする者もあるが、通常は他の任務を兼務する。
合衆国法典では船舶検査を船級協会に委ねる事ができるとされ、その対象はABSのみに限定されていないが、結果的にはABSのみである(搭載喫水線とトン数測度に関してはDNVを認めているとの情報がある)。ABSに委ねる範囲はトン数測度を除き我が国と類似しているが、現在その拡大が検討されている。船舶の検査機関はUSCGとABSのみで、日本の小型船舶検査機構のようなその他の機関はない。無線設備に関しては、連邦通信委員会(FCC)が単品検査から船上での検査まで実施し、USCGはその確認のみとする。
検査の合理化策の一環として現在具体的に検討されているのは、SOLAS条約第9章「国際安全管理コード」(ISMコード)の採り入れと、自主検査制度の採用、そしてABSへの検査委任の拡大である。目主検査制度(Selr lnspection Program)は“Streamlimed Inspection Progm”−“SIP”と称し、2年ほどで明らかになるとのことで、これによるとUSCGとABSは、共に監督業務を主とするものとなる。ISMコードの船社及び船舶の管理プログラムの審査機関としては、当然ながらAESを指定している。
消火器などは、法定必要数量以上に搭載するもの(余剰設備)も、非検査船に搭載するものについてもUSCCの承認品を使うこととしている。一方携帯用の消火器についてはUSCGの規格を廃し、UL規格を採用している。
当協会として関心のある膨脹式救命いかだの整備事業場の認可は、製造メーカーの申請が基本である。我が国のサービスステーションが承認されるためには、米国の承認品のメーカーのライセンスを受け、メーカーに承認申請して貰うことになる。
型式承認の対象が、外国製品にも拡大され、その対象品目はABSの型式承認物件一覧から知ることができる。
1996年の法改正により、今後2年間で船級協会への検査の移管が実施されるとのことであるが、目下の最大の急務はlSMコードの適用であろう。SlPと共に、この内容が明確になるには、2年ほどかかるとのことである。
カナダの船舶検査の担当部署は、本調査を始めた当初はカナダ・コーストガードであったが、行政組役の改編によりコーストガードは消滅し、職員運連輸省内各部門及び漁業海洋省のプレジャーボート検査部門に移った。組織改編は現在も続けられ、将来図は不透明である。
カナダにおける船舶の構造・設備を規制する法律には“CANADA SHPPING ACT”と“CANADA ARCTIC WATERSPOLLUTION PREVENTION ACT”がある。極寒の海を領海とするカナダだけに、氷海域を航行する船舶に対す

 

 

 

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