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6.2 成果概要

(1) 21世紀のエネルギー問題
近年、二酸化炭素による温室効果や硫黄酸化物あるいは窒素酸化物などによる酸性雨の問題など、地球環境問題に対する認識が急速に高まりつつある。このことは、今後のエネルギーを考えていく上でも避けて通れない課題である。世界の人口は、21世紀の初頭には早晩80億人に達すると言われ、エネルギー需要の増加は加速度的に増えることは疑いの余地がない。しかしながら、地球環境問題を考慮に入れると今後とも従来通りの石油や石炭などのいわゆる化石燃料に依存することは許されない状況にある。我々は、1970年代に2度にわたる石油危機(エネルギー危機)を体験したが、現在「地球的規模の環境問題」という新たな危機に直面しているのである。間近に迫った21世紀に向けて、真にクリーンなエネルギーが求められている。
資源量という視点で見るとき、最も豊富なエネルギー資源が太陽エネルギーである。特に太陽エネルギーの量は圧倒的であり、地球表面に到達する太陽エネルギー量は約1018kWH、全世界のエネルギー消費量の約15,000倍に相当する。しかも、その起源が太陽であり、資源量が尽きることは実質上考えられない。原子力エネルギーの場合、軽水炉用燃料の235Uは必ずしも無尽蔵な資源ではなく、世界のエネルギー需要を数十年のオーダでしか満たすことは出来ない。しかし、増殖炉・融合炉までを考えると資源量は大幅に増加し、差し当たりの心配はなくなる。従って、化石燃料の次に登場するエネルギー供給の主役は太陽または原子力エネルギーであるが、原子力エネルギーには環境面での不安という大きな課題が残されている。
一方、太陽エネルギーには
? エネルギー密度が希薄
? 出力変動が大きい
? 負荷パターンと出力パターンが合致しない
? エネルギー賦存量の多い地域とエネルギー消費地が遠い
等の問題点がある。

 

(2) マイクロイノベーションによる技術革新
コンピューターに代表されるエレクトロニクス革新は、次のように技術に対する考え方を変えてしまった。機械部品を例に取ってみよう。機械を作る部品が小さくなり、部品の数が多くなればなるほど、その機械は壊れやすく高価なものとなる。ところが、半導体技術の世界では、万事が小さくなればなるほど良くなり、集積度の高いものほど安くなり、そして多量になればなるほど故障や欠陥の数が

 

 

 

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