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4.3.4 発電
(1) 生命システムの概要
シビレエイや電気ウナギなどでは、生体内で化学エネルギーを電気エネルギーに高効率変換を行っている例が見られる。電気ウナギの発電器官は電極が体軸に沿ってならび、その後面に神経が分布していて尾の方から頭の方へ向かって放電する。その時の起電力は数百ボルトにも達することが知られており、このような発電器が生体を構成する物質でできていることは脅威的である。このような例に学んで将来、これまでにない新しい材料が構築できるかもしれない。

 

(2) 学ぶべき生命の機能
電気魚の発電器官は図4−20に示すように、横紋筋でできた「電気板(電板細胞)」と呼ばれる単位が積み重なって「電気柱」を形成し、この電気柱が多数平行に連なって一個の電気器官を形成している。
神経の興奮を伝達する際にシナプスより「アセチルコリン」という神経伝達物質が放出され、シナプス後細胞での神経伝達物質依存性チャンネルに結合して、細胞膜を介して細胞内に電気的変化を引き起こすことが知られている。ひとつの電板細胞をはさんで150mVの電位が発生し、電板細胞の数に応じて数百ボルトの起電力を生じることがある。ただし、この電位は神経などと同じくミリ秒の単位でしか持続しない。

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図4−20 シビレエイの発電器官(G.Karp,1996)

 

 

 

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