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2) 産業用ソーラーシステム;さらに高い温度領域(100〜200℃)の熱源を太陽熱でつくり、工場のプロセスヒートの熱源に利用する産業用ソーラーシステムの研究が進められている。これに関連して(150〜200℃)程度の中温集熱器や長期蓄熱技術、(-20℃)程度の冷熱を得る高効率太陽熱冷凍技術、太陽熱を化学エネルギーや水素エネルギーに変換して利用する基礎的技術の開発が世界的に進められている。さらにまた、ソーラーポンドの底部から100℃程度の熱を取り出し、産業用プロセスの熱源に利用したり、低沸点媒体を利用して発電(ソーラーポンド発電)する技術開発が、イスラエル、米国、オーストラリアなどで進められている。
3) 太陽熱発電;現在太陽エネルギーによる発電の中で最も大きな電力を供給しているのは、太陽熱発電である。太陽熱発電は81年以来わが国を始め、米国、イタリア、スペイン、EC連合、IEAグループなどが、0.5〜10MWの試験プラントを建設し、研究を進めてきた。太陽熱発電の温度領域は300〜500℃程度であり、この熱で水蒸気をつくり蒸気タービンを駆動して発電するものであり、大別して三つのタイプがある。(A)パラボラトラフを用いた分散集光方式、(B)タワーの周りの多数の平面鏡を用いてタワーの上部に集光するタワー集光方式、(C)パラボラデイッシュ型反射鏡を用いて、その焦点に集光・集熱し、スターリングエンジン発電機を駆動する方式がある。(A)タイプの太陽熱発電所が84年以来、米国西部のモハベ砂漢で商業運転を行っており、現在353kw程度の電力を供給している。発電ユニット80MWで発電コストは8セント/kwh程度である。(A)、(B)タイプは比較的大容量発電に、(C)タイプは小容量発電に適している。何れのタイプも現状ではコスト高であり、コスト低減の研究開発が進められている。また、太陽熱と天然ガスを併用したハイブリッド型発電プラントの研究も進められている。

 

2.2.2 太陽エネルギーの光的利用
太陽光の光子のエネルギーを利用する技術であり、代表的なものが太陽電池である。
1) 光子による汚染水の浄化;光子とある種の触媒(例えば酸化チタニウム)を用いて光化学反応により汚染された産業排水などを浄化し再利用する研究が米国で進められている。
2) 太陽光発電;太陽電池は大別して結晶型太陽電池と非結晶型太陽電池(アモルファス太陽電池)に別けられ、その変換効率の向上とコスト低下の研究開発が積極的に進められてきた。バルクの結晶型太陽電池の研究が先行し現在単結晶シリコン太陽電池では、変換効率20%程度(10cm角)、24%程度(2cm角)のものが、多結晶シリコン太陽電池では、変換効率17%程度(10cm角)のものが大量生産出

 

 

 

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