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参考資料

 

1. 調査各港の概要

1−1 高雄港

高雄港は台湾南西序に位置し、南北12?の天然の半島(現在は島)に囲まれた入江に造られた天然の良港である。
高雄港は1860年に商港として開港し、1908年に築港、1929年に竣工された。その後、太平洋戦争終了に伴う復興・発展計画により港湾施設が整備され、特に、1966年から始まった12か年港区拡張計画の実施により、水域面積の拡張、埋立て造成が行われ、コンテナターミナルの整備が始められることとなった。1969年10月には、OOCL社が改造フルコンテナ船4隻のうち「東方神星」を太平洋航路に投入したことを契機に、台湾の中心港としての道を歩み始めた。さらに、1975年6月に第2コンテナターミナルが完成したことをきっかけに中継港として注目を集めるようになり、1990年代に入り本格的な港湾整備が始まった。現在は、入江の両岸に第1から第5ターミナル(第5ターミナルは一部のみ完成)まで整備されている。台湾当局は高雄港を最重要港湾と位置付け、現在も開発が進められている。
高雄港の1995年のコンテナ取扱高は約505万TEUで、そのうち、輸出入が各々3割、トランシップカーゴが約4割を占めている。香港、シンガポールの約半分ではあるが、世界第3位のコンテナ港となっている。また、トランシップカーゴの割合は、船社により異なっており、多い船社では7〜8割という例もある。このことは、船社によって高雄港の位置付けが異なっていることの現れであると思われる。
本文5−2−4(1)でも触れたように、高雄港は1997年7月の香港の中国への返還を契機に中国本土との直接航路を実現したいとしており、中台間での駆け引きが続けられて来た。この中台直航は1995年1月に行政院にて「台湾をアジア太平洋地区の製造・海運・航空・金融・通信・メディアの6つの産業分野におけるオペレーションセンターにする」との閣議決定が行われたことにより動き始めたものである。
1996年8月に中国側は中台間の海運に関する管理規制を公布、福州とアモイを試験地点として解放することを決めた。その後、1995年7月以来途絶えていた中台協議は、1997年1月22日に中台海運業界代表による民間協議が当局者を交え香港で開かれ、中国の福州、アモイと台湾の高雄を結ぶ直接航路を開設することが合意された。早ければ1997年3月にも就航する見込みである。ただし、通航が認められるのは、外国の船会社と、中台の船会社が利用する外国籍の貨物船に限られる。

 

 

 

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