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はじめに

本報告書は、モーターボート競走公益資金による日本財団の平成8年度補助事業として実施した「内航船用機関分析システムに関する調査」事業の成果をとりまとめたものである。
現在の船舶における機関の整備は、入渠時等に行われる保守整備(定期保全)と、故障発生時に行われる修理(事後保全)により行われているが、運航条件等で左右される各船毎々の船舶の機関の摩耗等に対しては、運転中の機器の状態変化を監視することによる予防保全(状態監視保全)を行うことにより機関故障を未然に防ぐことがより合理的である。これらの保守整備の合理化と予防保全の確立により過剰整備や整備不良を無くし、保全費の低減や稼働率の向上が期待できる。これまで主機関については各社で状態監視・診断システムが開発され、その性能は向上しつつあるが、必ずしも信頼性が十分では無いこと、また、価格の問題等から内航船への普及が進んでいないのが現状である。
本調査では、故障予知診断が可能な内航船用機関分析システムを構築するため、内航船に関係する船主、造船所、主機メーカー、保守修理会社等を対象にした故障予知診断システムに関するアンケート調査および現在研究開発されている種々の故障診断システムについて調査を行い、内航船へ適用するための問題点や技術的課題の抽出を行い、内航船に適した故障予知診断システムの概念検討を行った。
本報告書は、それらの成果をとりまとめたものである。この報告書が内航船用機関故障予知診断システムを開発するための基礎資料として有効に活用されれば幸いである。
本事業は、佐藤準一埼玉大学教授を委員長とする「内航船用機関分析システムに関する調査委員会」の各委員の熱心なご審議による他、運輸省のご指導をはじめ、多くの方々のご協力により完遂したものであり、これらの方々に対して心から感謝の意を表する次第である。
平成9年3月
財団法人 シップ・アンド・オーシャン財団
会長 今市憲作

 

 

 

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