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スタートを予定しているが、本年8月、スウェーデンのマルメ市で使用中のCNG車両を調査のために試験導入して、デモンストレーションを行った。
以上のようにWMT社はきわめてアクティブに改革を行ってきた結果、かなりよい成果を残してきており、今後継続的に進められる低床バスの導入も乗客から好評を得るのは間違いのないところであるといえる。しかしながら、地区間を結ぶ路線が渋滞による遅延が甚だしく、悩みの種になっている。これについては建設中のドラムの開業を待つしかないようである。
・ミッドランドメトロ
ミッドランドメトロは、英国でも最近シェフィールドなどの成功によって急速に計画が各地で進められている新世代の路面電車である。WMTや自治体、EUなどが参加した第三セクターにより3路線計画され、バーミンガムからウォルバーハンプトンまでの約20kmのNo.1路線が1998年開業予定で建設されている。この路線の特徴は、国鉄路線の脇に併設される区間が多いことで、途中駅はエレベータ完備の橋上駅が多いようである。もちろん市内中心部では道路上を走行するが、自動車の軌道内乗り入れを禁止して運行の妨げをなくするという。車両はシェフィールドのものと同タイプの両端部以外を低床とした形態で、イタリアの会社で製造される。路線は23の駅を有し、6分間隔で運行され、全区間の所要時間は35分の予定とされている。このメトロの開業により、自動車の車両数の増加で2015年には平均時速25kmへ低下する地区間移動の速度を、35km/hとすることができ、メトロとバスの公共交通の連携により、渋滞問題、騒音問題、環境問題を改善することが期待されている。
・ウェストブロムウィッチ視察
低床バスの集中投入がなされた401、402路線を見るために、ウェストブロムウィッチを訪れた。金曜日の昼過ぎであるが、シティセンターの商店街は賑わっており、バスターミナルでもバスがひっきりなしに発着し、昼間の利用が多い統計数値もうなずける。401、402路線は、ターミナルの中央のベイから発着するが、新しい塗装は一際目立っている。試乗したバスも座席がほぼ埋まる程度の乗客がおり、比較的高齢者が多いので、低床化による乗降時間の短縮効果は顕著である。同行したBateman氏が乗客にバスの評判を聞いてみると、いずれもgoodであるとの答え。低床バスが極めて好評であるのが理解された。両系統あわせて10分間隔であったが、増便も期待されるのではないかと思われた。

 

(2)ロンドントランスポート・低床バスプロジェクト
ロンドントランスポートはロンドン交通局で、以前は英国一の規模を有していたが、1994年の分割民営化により、バスの運行は複数の会社に分割された。その分割直前に計画されたものに低床バスプロジェクトがある。同プロジェクトは、バスの低床化が欧州大陸に遅れをとった英国で、低床バスの開発促進、導入効果のテストなどを目的として、ロンドントランスポートが計画したもので、68台(38台のデニスと30台のスカニア)の低床バスの5路線への集中投入を1994年中に行った。投入直後は、初期故障や不慣れによる戸惑いなどもあったようであるが、いずれも順調に運行しており、一部路線では増発により一般車両の一時的な混用もみられている。

 

 

 

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