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ての実験的検討を実施した。その結果、低床化により車内レイアウト等に制約を受けることになるものの、ノンステップ型とすることで乗降性がかなり向上することがわかった。扉や通路の幅、シートピッチ、車いすスロープ等についての目安となる定量的値についても検討した。
また、路線バスの低公害性について検討するため、排出ガス評価が可能なドライビングシミュレータを構築し、各パラメータの環境負荷に対する影響について検討した。車両そのものの改善、運転操作の適正化、運行環境の改善等により、環境負荷を50%以下にすることも不可能ではないという検討結果を得た。
(4)以上の研究結果を踏まえて、次世代バスのあり方について検討した。今後の路線バス事業を取り巻く社会環境変化(利用者の高齢化、地域の過疎化、交通環境問題対策等)に対応するためには、?人と環境にやさしいバスの導入促進、?利用者ニーズヘの柔軟な対応(運行形態の改善等)、?バス走行条件の改善(定時制の確保等)などが重要である。
そのための技術的課題としては、例えば利用者ニーズに適応する車両の開発(低床・低公害バス、中・小型バス等)、公共交通全体の有機的連携を目指す総合交通システムの開発、バス運転手・整備士の高齢化への技術的対応等が重要である。また、低床バス導入を支援する補助金・税制優遇措置、及び道路施設・バス停などの交通環境の改善等の重要性も指摘できる。

 

以上に述べたように、今後の公共交通にとってバスの乗降性改善は重要な要素であり、バス事業者の問題意識も大きいことから、低床バスの円滑な導入促進に向けた何らかの助成措置や、交通インフラの改善などの総合的な交通環境整備が望まれる。またバスの低床・低公害化のための研究開発や、利用者ニーズに対応するための種々の技術開発の促進も重要である。
船舶も含めた総合的な交通機関の乗降機能向上のためには、床のフラット化や昇降装置の付加等のハード的対応だけでなく、「人にやさしい交通手段」の利用案内の情報提供や運行形態の改善等のソフト的対応、および公共交通全体の有機的連携を目指す総合的対応が重要と考えられる。

 

 

 

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