1.4 本調査のポイント
前節までの調査結果を踏まえ、以下が指摘できる。
・都内の鉄道およびバスを利用する事例について、前述の累積ストレス評価法により評価したところ、高齢者等にとっては、バスを利用する方が「障害度」が少ないという結果を得た。鉄道駅でのエスカレータ設備等の整備状況によって、この評価結果は異なるが、概して高齢者等は健常者ほど時間に急いでいないことからも、バスが魅力的な交通機関と位置付けられると考えられる。
・鉄道駅の整備には、構造上ならびに資金面での制約等から、まだかなりの時間を要すると考えられる。
・一方、船舶については、高齢者等に配慮したノーマライゼーション設備のあるフェリーの就航例があり、その設備の整っている船舶およびターミナルについて事例調査を行ったところ、ほぼ満足できるものであった。モデル船の検討も行われており、人にやさしい船舶のあり方については、ある程度明確になっている。今後、このような設備を有する船舶およびターミナルは、多くなってくると考えられる。
・ノーマライゼーション設備のある船舶とターミナルを利用する場合の課題としては、港のターミナル施設までの交通のアクセスを改善することが挙げられる。交通手段としては、バスやタクシー等であり、このため公共交通機関としてのバスの乗降性を改善する意義は大きい。
・前述の累積ストレス評価法による評価結果からも、バスの低床化を図ることにより、高齢者等にとっての障害度を大きく軽減できると期待される。
・このように、総合交通体系としての考え方に基づくと、バス車両のみならず、駅や船舶・ターミナル等においてもいくつかの課題があるが、バス車両の改善によるバリアフリー化は、かなりの効果が期待できる要素と考えられる。
以上より、高齢者や障害者等にとっての交通機関の乗降性向上のために、バスの果たす役割は大きいことから、本調査では、特に低床バス(注)に焦点を絞って検討する。
(注)低床バス:ステップ高30〜35cmのノンステップバス。二一リング(車高調整装置)により更に50〜100mm高さを下げることが可能。
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