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1. 交通機関の人へのやさしさに関する検討

1.1 人へのやさしさの評価方法

(1)「人へのやさしさ」の概念
交通機関の人への「やさしさ」は利用者それぞれによって求めるものが違ってくる。高齢者や身体の不自由な人にとって、長い距離の移動や階段は「やさしさ」とは対極の存在であり、通勤通学者にとってはラッシュ時における混雑解消が切実な望みである。また土地に不慣れな人や外国人に対してはわかりやすい情報伝達が必要であるし、加えて目や耳が不自由な人にも対応できるよう、総合的に検討する必要がある。
そのような「やさしさ」を捉える視点として大きく以下の3つの評価項目が考えられている。
?移動のしやすさ
?案内のわかりやすさ
?施設の使いやすさ
このうち、「?移動のしやすさ」の項目を取り上げてみた場合には、次のような課題が挙げられる。
a. 駅などの停車場の入口から乗り場までの移動距離
b. 階段などの段差の有無c. 車いす移動対応エスカレータ・エレベータ・スロープ等の設置
d. 階段、スロープへの手すりの設置

 

(2)「やさしさ」の定量的な評価方法
上記のような「やさしさ」を評価する方法としては、例えばターミナルなどに実際にエレベータやエスカレータを導入した場合に、その効果の大きさを判断するために、定量的な評価方法が考えられる。また、ある地点から目的地に向かう複数の交通手段(電車・バス・使用駅・経由)が存在したとすると、どのルートが最も「やさしい」と云えるかということも考慮の対象にすることにより、都市における交通機関の「やさしさ」の実態を定量的に評価することも考えられる。
「等価時間係数による移動制約者のバス利用抵抗について」など定量的な評価手法は以前の研究にも存在している。また、例えば「交通機関の「やさしさ」の向上をめざして」(運

 

 

 

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