日本財団 図書館


 

述するプロセス情報も必要となる。この実現には、各々の業務や工程における知識とデータを抽出・整理し、整合性と統一性を持つように抽象化・定式化を行い、情報の交換と共有が可能なようにそのモデルを構築する必要がある。そして、プロダクトモデルのデータとしては、製品全体やそれを構成する各部品の形状情報や加工情報だけでは十分でなく、部品それぞれが接続される相手の情報やその組立順序、さらには工場設備など形のない様々な関連情報や関係情報までもが必要となる。また組立品として何段階かの中間製品を生成するため、関連情報も工程に伴い変化することも求められる。
この広範で複雑なプロダクト/プロセスモデルについては、その「造船業CIM開発研究」において、その実現の可能性が理論的に裏付けられただけでなく、そのコア部分については「フレームモデル設計書」として、特定のコンピュータハードソフトに依存しない概念レベルでのオブジェクト指向分析によるクラス及びメソッド仕様の詳細な記述が既に得られている。
GPME開発ではこの成果を継承し、造船業を含む組立産業におけるプロダクト情報及びプロセス情報のモデル化とシステム統合化の基盤を提供し、業務全体のCIM化を支援するため、造船業のプロダクトとプロセスに関わる知識の集まりとしての「フレームモデル設計書」の内容を、組立産業の立場からより一般化し、かつ前述のオントロジの概念に従って再整理した。
なお一般に、製造業の情報モデルを構成する生産情報を付加した製品に関するプロダクトモデルと生産過程そのものを記述するプロセスモデルは、それぞれ独立したものとして分けて取り扱われることが多い。しかしGPMEでは、「フレームモデル設計書」の記法に従い、このプロダクトモデルとプロセスモデルを一緒にまとめて扱い、以下ではその二つを合わせ単にプロダクトモデルと呼ぶ。その理由は、組立産業では中間製品を含む製品(プロダクト)とその設計・製造・物流・集積・組立などの各過程(プロセス)が互いに入り組んでいるため、むしろ一緒に扱った方がそのモデル化が容易なためである。
(3)プロダクトモデルとオントロジの拡張
前述のように、GPMEではプロダクトモデルの論理構造のことをオントロジと呼ぶ。いいかえれば、現実のプロダクトモデルは、このオントロジを実装版であるクラスライブラリの集まりに各種のデータ管理機構を加えたものである。
さて、GPMEのオントロジの構成は組立産業全般の共通部(コモンオントロジ)とその中の個別業種用の拡張部(拡張オントロジ)に分かれている(図2.2−1)。共通部はGPMEの一要素として提供されるが、拡張部は原則的にはGPME運用者が業種や各社固有の諸条件に合わせ自ら作成(拡張)することになる(図2.2−2)。ただし3章に示すように、GP

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION