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第3章 新型高速内航船用機関の開発実施内容及び結果

 

3.1 ミラーサイクル検討(サイクルシミュレーション)

本研究においては、従来と同じボア×ストロークのエンジンと比較して、出力率を2倍以上である390(従来は187)という超高出力の達成を目標にしている。
このために、シリンダ容積を増加させることなく、より多くの燃料を燃焼させ、より多くのエネルギーを取出す必要がある。
正味平均有効圧力(Pme)は、従来の20.7kgf/cm2から31.5kgf/cm2へと、大幅に増加する。
従来の燃焼サイクルにおいて、本開発研究の目標出力である出力率390を達成すると想定し、サイクルシミュレーションを実施した。
この結果、燃焼最高圧力(Pmax)は、従来の約150kgf/cm2から200kgf/cm2以上に上昇すると予想され、連続運転の限界と考えられる180kgf/cm2を超え、燃焼室温度や排気温度も上昇するため、耐久性に問題があることがわかった。
また、燃焼温度の上昇により、生成されるNOx量も増加し、環境の面で問題となる。
このため、出力率390を達成しうる燃焼サイクルについて検討を行った。この結果、正味平均有効圧力が増加しても燃焼最高圧力の上昇を低く抑え、燃焼室温度や排気温度上昇を抑えることができ、かつ、NOx量を低下させる可能性があるミラーサイクルを適用することが、最も有効であるとわかった。

 

ただし、通常の給気圧のままでミラーサイクルを適用した場合は、吸入される空気量が減少し、性能が低下する。
従って、ミラーサイクルを成立させ、目標出力を達成するためには、より高い給気圧が必要となり、高圧力比の開発が必要となることがわかった。

 

 

 

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