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3.2.3高圧燃焼試験
1)高圧燃焼試験の概要
(1)模擬ヒータと高圧ヒータの差違
模擬ヒータと高圧ヒータの仕様を表3.2-3に示す。高圧燃焼のスターリングエンジンが常圧仕様と同等の熱効率であると吸収熱量75.5kwが必要であるが、両方のヒータ共に十分な吸熱容量を有している。また、この模擬ヒータは、冷却剤として低圧の空気や水を使用し、これに熱を授受させるため、ブロックに設置するガス通路径は小さく且つ、低温度保持のためブロック自体の強度は問題にならない。このため模擬ヒータとそれを装着するブロックも高圧ガス取締規制に則り、特定容器設計圧力8MPaの設計が可能である。これに対して、高圧ヒータは、ヘリウムを冷却剤として使用し高温の環境下にあるヒータヘッドや再生器ハウジングに接続される事が条件になるため、高圧ガス特定設備規制に従えば5MPaの設計圧力が限界である。
本試験では、試験開始時は模擬ヒータしか無かったために模擬ヒータを使用したが高圧ヒータの完成後も5〜7MPaの試験は模擬ヒータ、5MPaは高圧ヒータを使用する使い分けを行った。
(2)燃焼試験の評価
本試験は高圧場の熱浮力対策を評価する必要があるため、ヒータメタル温度の上部と下部の温度差及び上部と下部の吸熱量比を選定した。これらの値の目標値として、熱効率の低下を最小限に抑えるため、
定格時の上下部温度差≦100℃、吸熱量比≧80%
を目安にした。また、一般的な燃焼性能の良否はCO排出濃度で判断した。
これらを評価する計測項目は妻3.2-4に示す。また、温度計測位置として角度表示しているが、真上を0とした時計回り360°まで回転して示す。
2)高圧燃焼試験結果
(1)多孔板の効果試験
模擬ヒータを使用し投入燃料量を3.1〜3.6kg/hで開口率を0.001〜0.01の範囲で変化させて燃焼試験を実施した。試験結果を図3.2-20に示す。
無対策で温度差が370℃で吸熱量比が0.1である。これに対して開口率を付けると温度差で180〜250℃、吸熱量比で17〜30%の改善が確認出来る。またCO濃度も開口率によってもほとんど変化が無く、φcoの値から燃焼は極めて良好なことが明白である。図3.2-20のなかで●の記号のみは内側と外側多孔板の組合わせた例である。この時の内側多孔板の温度測定結果を示しているが予想される。この場合は最高温度として870℃にも達している。。燃料量を増加すると900℃以上になると噴出孔が溶融する恐れもあり、実用的には外側多孔板にすべきという事と考えられる。この図3.2-20の内、外側多孔板設置のヒータ軸方向と周方向の温度分布を図3.2-21、図3.2-22に対策無しの場合と比較して示す。
軸方向には問題ないものの、周方向の改善は十分でない。
これらの結果から吸熱量比が目標の80%にほど遠い。これは、この程度の絞りを持つものでは多孔板の効果は小さくしか現れていないという事で、0.0001程度の

 

 

 

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