3.1.3機関本体の高圧化改造
(1)まえがき
前項「機関本体の製作」により製作したスターリングエンジンは常圧燃焼仕様である。
本研究ではこれを、高圧燃焼仕様に改造する必要がある。スターリングエンジンを構成する部品の中で、機関本体に収納されている膨張室と再生器等は、本来、パイプヒータを介して膨張室と再生器の間で、8〜14MPaの範囲で内圧変動しているため、外圧が適度に高圧化されると強度的な面からは、差圧が小さくなり、問題のない方向になる。しかし、高圧燃焼器内に接触したり、突き出しているコンプレッサーフロック及びヒータ部は、高圧に対する強化が必要である。
一方、本研究で開発する動力源システムは高圧ガス製造装置とみなされることから、高圧ガス取締規則が適用されることを前提に、高圧化改造設計を行った。
(2)コンプレッサーブロック
図3.1.3-1に常圧仕様のスターリングエンジン燃焼器周りを示す。左側は燃焼器の縦断面、右側が縦断面に示すヒータ上面からと取付けフランジ部分で裁断した二つの合成平面図である。中央部の空間の燃焼室部分をパイプで囲んでいるのがヒータである。燃焼室上部中心部にはバーナ、その周囲にはスワーラが設置されている。ヒータに伝熱した後の燃焼ガスはケーシング内側の断熱材で囲まれた空気予熱器を経て、排気ガスとして外気へ拡散していく構造となっている。
同図から、常圧仕様ではケーシングの厚さが薄く、明らかに耐圧性を期待できないことからコンブレッサーフロックの高圧化改造を行った。改造に当たっては動力源システムが高圧ガス取締規則の適用されることを前提に、特定設備検査規則及びJIS‐B8243を使用しての強度計算を実施し、図3.1.3‐2に示すコンプレッサーフロックを設計した。
(3)ヒータ
本研究で開発する動力源システムでは、高温かつ高圧下での燃焼を行うことから、その伝熱条件は常圧仕様の燃焼室とは異なるものとなる。そこで燃焼室内の伝熱解析計算を行い、ヒータの設計を行い、表3.1.3‐1に示すヒータ仕様を決定した。ヒータは伝熱面積を得る為にフィン形状をスパイラル形とし、管材質には耐熱性の高いハステロイXを用いた。図3.1.3-3にヒータの図を示す。
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