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この課題を改善し、多様化する海洋環境の調査・研究ニーズに十分に応えるためには長期型調査手段の開発が必要不可欠であり、その実現の鍵を握るキーテクノロジーが大深度まで長期間連続使用可能な新しい型式の海中動力源技術である。
このため本研究開発では、将来の海洋開発にとって、まずは大深度長期高効率海中動力源システムの開発が急務であるとの考えに立ち、新型動力源システムとして最も有効と考えられる高圧燃焼・排ガス液化排出型外燃式海中動力源システムを開発し、その実用化のめどを得ることを目標とする。高圧燃焼・排ガス液化排出型外燃式海中動力源システムに閲する研究は、運輸省船舶技術研究所、海洋科学技術センターなどにおいて基本的な調査研究や検討が行われてきた。
本研究開発では、これらの研究成果を踏まえた上で、既存の常圧燃焼仕様の外燃式機関本体を利用し、当該機関本体の高圧仕様化を図るとともに、所要の周辺装置を研究開発することにより、高圧燃焼・排ガス液化排出型外燃式機関を用いた大深度長期高効率海中動力源システムの開発を行った。

2.1大深度長期高効率海中動力源システムの概要

本研究開発を通じて開発を狙う高圧燃焼・排ガス液化排出型外燃式海中動力源システムの概略構成及び特徴を通じて本システムの概要を説明する。
a.システムの概略構成
本システムの概略構成は、図1-1の概念図に示す通り、概ね以下の通りである。
本システムの基本構成は、外燃式機関本体及び発電機から構成される機関ユニットを中心とし、燃料タンク及び燃料ポンプから構成される燃料供給装置、酸化剤タンク、酸化剤ポンプ及び酸化剤予熱器から構成される酸化剤供給装置、CGR(Combustion GasRecirculation)クーラ及びCGRファンから構成され純酸素燃焼による加熱を防止するために燃焼ガスを燃焼系統中に再循環させるためのCGR装置、冷却水クーラ及び冷却海水ポンプから構成される冷却装置、更には排気凝縮器及び排出ポンプからなる排ガス排出装置で構成される。
b.システムの特徴
本システムの特徴は、排気ガスの主成分であるCO2ガスの常温凝縮圧力が5〜7MPaである点に着目し、排気ガス圧力をこのレベルまで高圧化し、排気凝縮器において冷却水との熱交換により液化させた排気ガスを、排出ポンプによって系外に液体排出する点にある。
更に、排気ガスをCO2ガスの常温凝縮圧力まで昇圧させるための手段として圧縮機等の補機類は一切使用せず、補機動力を削減するために外燃式の利点を生かし機関本体付属の燃焼器内燃焼圧力自体の高圧化を図る点に第2の特徴がある。従って本システムの開発には、要素技術として、排気ガスの液化排出技術の確立が必要となる。
上記とは別に、通常考えられる排気ガス(CO2ガス)の処理方法としては、薬剤吸収方式及び圧縮排出方式があるが、薬剤吸収方式は、薬剤吸収システム自体の規模が動力源システムに与える影響が大きく長期海中動力源には適さず、また圧縮排出方式は排気ガスをガス状態のまま周囲海水圧力以上に加圧する必要があるため大深度ほど排気ガス排出所要

 

 

 

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