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作動の確認のための予備実験を、平成6年11月8日、「フェリーH」上で実施した。「フェリーH」は実船実験の実施された船であるからここでは詳細を省略する。
実験は,主としてテレメータシステムの作動が確実であるか否かの確認のために行われた。実験の結果は、図2,3,1−2に示される。
図より、A−deck,B−deck共に、かなり広範囲の計測可能領域が得られることが確認された。
d)実船実験時の生理的変化の計測方法
実船実験時に被験者の生理的変化として計測される脳波の電極装着位置は、後頭部のPz、O1,O2である。これらの位置に関しては動揺模擬装置を用いた実験の場合と同様である。心電図の計測に関しても電極の装着位置は動揺模擬装置実験の場合と同じとする。
生理計測の対象となる被験者は、航海中常時、船体動揺計測装置の傍でできるだけ一定の姿勢を保つよう指示される。また、被験者の先入観や自己暗示による影響を取り除くために、乗船前目の夕刻に安静状態の生理計測を実施することを立て前とする。
船体動揺暴露中は、生理的変化だけではなく、同時に被験者に近い位置で船体の動揺(上下、左右、前後加速度および縦揺れ角速度、横揺れ角速度)の計測が船体動揺計測装置によって行われる。
e)実船実験時のアンケート調査
動揺暴露の前後における心理的反応の変化を調べるために一般の乗客に対して「乗り心地に関するアンケート調査」を実施した。乗船時にアンケート調査票(教示用紙1枚、出港前記入用紙,入港前記入用紙両面1枚)を配布し、出港前と入港前に記入してもらうよう船内放送を通じて協力を呼び掛けた。記入されたアンケート調査票は、下船時に回収した。アンケート調査票は、動揺模擬装置による実験時に行われるものと同じであるが、実船実験用に文言を変えて作成されている。但し、SD法によるアンケート調査は、船酔いと直接関係のない設問となっているため、一般乗客からの評判は悪かった。このために回収率が低くなったと同時に、後の解析に使えない回答もかなり多かった。
f)乗り組み関係者、一般乗客への配慮
実航路に就航中の船舶上における実験、アンケート調査であるから運航の妨げにならないよう、また、一般乗客に不満感や不快感を与えることのないように配慮することが必要である。

 

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図2.3.1−2 マルチテレメータシステムの作動確認予備実験結果

 

 

 

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