4．超電導電磁推進装置の高出力化に関する調査研究

4．1概要

超電導電磁推進船が一般に船として用いられるためには在来船と同等が、それ以上の性能が要求される。そのためには超電導電磁推進装置の本体となる超電導磁石の高磁界化、超電導磁石を構成する永久電流スイッチや電流リード、冷凍機等の周辺機器の高性能化を進める必要がある。

そこで、本事業では、平成7年度から「Nb3Sn巻き線技術の開発」および「Nb3Sn永久電流スイッチの開発」の2つの研究テーマを課題として調査研究を進めてきた。

「Nb3Sn巻き線技術の開発」では、超電導コイルに一般に使われてきた合金系超電導線材のNbTiに替わり、高磁界用コイル材料である化合物系超電導線材のNb3Snを用いた高磁界用超電導コイルの巻き線技術について調査研究を行うこととした。平成7年度は、コイル巻き線作業をコンピュータ制御で行い、コイルの巻き線過程に人為的要素を少なくして実験用コイルを製作できる超電導コイル巻線機を製作した。平成8年度は、コイル製作時の性能劣化原因の究明のための実験用コイルの線材としてNb3Sn超電導線材の製作を行い、巻線機により実験用コイルを製作し基礎データの収集を行った。

また、「Nb3Sn永久電流スイッチの開発」では、高磁界超電導磁石を永久電流モードとして運転するために不可欠な、信頼性の高い大電流永久電流スイッチを開発することとした。平成7年度は、第一スナップとして、Nb3Sn超電導線材を用いた1,000A級永久電流スイッチを開発し、高磁界用永久電流スイッチの開発の見通しを得た。平成8年度は、第二ステップとして同線材による3,000A級永久電流スイッチの開発を行い、その評価試験を行った。

4．2Nb3Sn巻き線技術の開発

4．2．1Nb3Sn超電導線材の設計製作

実験用高磁界超電導コイルに使用する高性能でかつ信頼性の高いNb3Sn超電導線材の設計製作を行った。以下にNb3Sn超電導線材の仕様および特性等を示す。

1）超電導線材の形状および諸元

Nb3Sn超電導線材の断面形状を図4．2．1に、Nb3Sn超電導線材の諸元を表4．2．1に示す。

図4．2．1Nb3Sn超電導線材の断面（絶縁前）

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