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うもりの扮装のまま、ウィーンの南駅のベンチで寝込んでしまった。いたずらっ気を起したアイゼンシュタインはそのままドロンし、ファルケが目を覚ませば南駅は黒山の人たかり。それ以来、彼は“こうもり博士”と渾名されて、ウィーン中の笑い者になった、というのだ。
「復讐はしたのか?」と尋ねる公爵に、アイゼンシュタインは「できるわけがない」と得意げに言うのだが。ファルケの「“こうもり”の笑いの復讐」はいよいよクライマックスと、客席にそっと宣言。
その時、ロザリンデの胸の“鈴の音時計”が高鳴り、時はまさに12時。一同は公爵の音頭で、新年と「笑いの復讐」の成功を祈って、シャンパン・グラスをかかげ乾杯!M?J第二幕フィナーレA“シャンパンの歌”「ぶどうが燃えたぎって」の歌があふれ出る。夜会は最高潮。人々は『シャンパンこそ酒の王様』と歌い、踊る。と、音楽はM?J−B「メルシイの歌」に変わり、やがて宿敵同士になるであろうルナール侯爵とシャーグラン閣下が、仲むつまじく感謝しながら祝福し合う姿を見て、ファルケをはじめ一同はにやり−。
ファルケは人間喜劇「“こうもり”の笑いの復讐」は、アイゼンシュタインに知られることなく、つつがなく進んでいると確信し、夢のようなM?J−C「われら皆兄弟」を歌う。シャンデリアの灯りが消え、蝋燭の火の揺らめく中、人々はこの世のものとは思えない美しいメロディ『ドゥイドゥ・ドゥイドゥ・ラララ』と互いにキッスを交し、和す。
歌い終るとケルントナードーア・バレエ団が登場し、ウィンナ・ワルツM?J−D「酒、女、歌」を踊る。すると曲はがらりと変わり、ポルカ・シュネルM?J−E「雷鳴と稲妻」となり、人々はバレエ団の踊りに巻き込まれ、とど、アイゼンシュタイン、ロザリンデを先頭に一列となって舞台を蛇行、ロザリンデがアイゼンシュタインにキッスをすれば一同見事な将棋倒しとなってきまる。鳴りやまぬ拍手の中、公爵が真ん中に進み出てM?J−F「これで充分、結構」を歌い出せば、「こうもり・ワルツ」が湧き起り、人々は歌い、踊る。アイゼンシュタインが『マスクをとって』とロザリンデに迫れば『震えるほど驚くわ』。これを聞いた一同、アイゼンシュタインをさんざん笑い者にしていると、やがて6時を告げる鐘。我に返ったアイゼンシュタインとフランクは慌てて身支度を整え、一同に別れを告げると、二人は仲良く連れ立って去る。公爵はじめ人々は笑いころげ送り出せば「こうもり・ワルツ」が再び高鳴って、人間模様の全てを呑み込んで−
−幕−

第三幕

M?K間奏曲「刑務所行き行進曲」で幕が上がると、元旦の朝。ここは刑務所の所長室。独房からは、アイゼンシュタインの身代わりとなって一夜を明かしたアルフレートの甘い「いとしい小鳩ちゃん」の歌声が聞こえている。看守のフロッシュが酔眼朦朧の態で現れ、いつものように焼酎を飲もうとして今朝は元旦と気づき、12月31日のままになった日めくりをめくり取れば、何と32日!?フランツ・ヨーゼフ皇帝の肖像画に柏手を打って“初詣で”を済ませると、隠してあった酒瓶を取り出し“お屠蘇”代わりにとっておきの“純米吟醸”で新年を祝うブロッシュ。ソファで眠ってしまったフロッシュは、可愛い鼠たちの夢を−M?L−A「ピチカート・ポルカ」にのり、鼠たちはフロッシュを誘い踊る。目を覚ませば、ひとりでに動き出すランプ。ランプとの追いかけっこの末、フロッシュが去ると、M?L−B「メロドラム」となり、フランクがふらふらとご帰還。フランクの酔眼にオルガとイーダの幻が−。フロッシュが戻れば、何と所長の椅子の新聞の真ん中に一本、葉巻の煙突がプカプカ煙を吐いている。仰天のフロッシュ、脱ぎ捨てたコートなどを片づけ、シルクハットを帽子掛けに掛けるが、こ

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